雨の日、何もしないで外を見ている。午前中の早い時間を寝過ごしてしまうと誰もが後悔するものだ。僕は後悔している。それと共に、ものすごい脱力感である。昨日何をやったわけでもなく、ウツでもない。この後悔は時間的な要素ではなく、自分のやる気のなさに抱いていると僕は思った。それからしばらくして、キッチンにいきコーヒーを入れて簡単な朝食をとった。いや、もう昼食だろう。時計は11時を回っていた。ベージュのワークパンツをはき、薄手のピーコートを羽織った。僕はどこ行く当てもなく、車に乗り込み道を走った。車は好きだ。大声であくびをしても、大声で歌っても誰にも迷惑はかからない。交差点ですれ違った髪の長い主婦と目があった。正確には顔を見合わせただけかもしれない。ただエコバックらしきものをもっていたから主婦と判断したのだ。簡単である。その主婦に僕の歌声が聞こえたのかと一瞬思った。それぐらい大きな声で歌っていたのだ。最近はドリカムを良く歌う。曲名は知らない。ただ心地いいのだ。歌詞を覚えているところもあれば、鼻歌で流すこともある。大体は鼻歌である。飽きると自分で適当な歌詞をつける。大体どの曲に歌詞をつけても同じ詩になってしまう。僕はその文脈を無意識に気に入っているんだろう。「風」とか「恋」とか「水」とかいう単語をよく用いる。これらの単語が気に入っているんだろう。メロディーに合わなくても無理に自作の詩を埋め込める。実に語呂が悪いのだが。ミュージシャンは自分の詩がメロディーに合わない時はどうするのか。どちらかを優先するのか。そんなことを考えているうちに図書館のそばを通った。今日は図書館でもいいと僕は思った。特にやることはないのだ。金もないのだ。密度の薄い時間だけがあるのだ。図書館は通り過ぎてしまったので、次の交差点で左折し、また次の交差点で左折し、また次の交差点で左折した。すると図書館の筋に出る。そのまま駐車場に車を止めて、近くの自販機でコーヒーを飲んだ。僕はコーヒーが好きである。なかでもブラックコーヒーだ。何の豆でもいい。ブラックであれば。ブラックが飲めれば大人であるという風潮が子供のころあったように思う。ビールとあまり変わらない。その感覚が残っているのかもしれない。右肩にバックをかけ、左手でブラックを飲んだ。図書館の入り口には飲食禁止の看板があった。知っている。何度も訪れているから。知っているのにブラックを買った。入り口にベンチがあったのでそこに座って空をみた。曇りだ。そして低い雲だ。いつの間にか雨はやんでいた。不思議と圧迫感はない。嫌いな空じゃない。入り口の前には3つベンチがある。初めは僕一人だけであったが、座っている数分間のうちに3人が座った。一人はジャケットのポケットに手を突っ込み、手入れされた植木を眺めている。植木と空なら数倍空を見る方が楽しいと思った。もう2人はコーヒーを飲んでいる。それも僕と同じ自販機で購入している。大体の人間は同じミスをするのだ。もしくは、僕がベンチで空をみながらブラックを飲んでいる姿が彼らに受け入れられたのかもしれない。ただ、彼らはブラックではなくカフェオレだった。子供だと思った。飲み終えると、入り口に向かった。心地よく乾いた空気だ。普通、図書館といえば湿ったかび臭いイメージだが、ここは違う徹底した空調管理がされているのだろう。できて間もない感じが外見からもわかる。僕がここに引っ越してくる前からあったと思う。だから3年前は経っているのだろう。市民の憩いの場なのである。一般的に天気の悪い日にはどこにもいきたくないものである。一般的には。しかし、みな後悔と戦うために動き、図書館にあつまるのである。だから一般的ではない混み具合であった。もはや落ち着いて作業なんてできない状態である。日曜日であるため、子供が多い。僕に子供ができたなら特別な躾はしない。最低限のことと、学校で教わることだけでいい。他は他から学べばいいのである。メインホールでは子供の音より、親の音の方が大きい。そして実に耳障りである。親は躾という大儀をもって、大きく耳障りな音を発生させる。もはや声ではない。獣のようである。NHKによるサバンナでのライオン親子のドキュメントをみたことがある。それと同じである。ほえて、首根っこをくわえて定位置に戻す。まったく同じだ。ここは動物園かサバンナのライオンの縄張りかどちらかである。どちらかといえば縄張りであろうか。一応の秩序は整っているように見える。 「私は子供を躾ています」私も。私も。私も。だから。 メインホールはそんな感じであったため、地下の書庫に向かおうと僕は思った。普通書庫というものは湿っていて、かび臭い。ここは違う。むしろメインホールより新鮮な空気だ。ここにある本は価値があるのだろう。そしてそれを縄張りの中に入れたくない。臭くなるからだ。本来、書庫というものはこのような使われ方をしなくてはならない。この図書館に僕は好意的な感情を抱いている。だから図書館のルールは守る。飲食しない。簡単である。親からも、学校からも学ばなくても知っている。単純である。 書庫は2層になっている。緑の非常口案内が点滅している。それをかき消すほどの明かりが蛍光灯から放たれている。長い廊下が一本とそれを背骨とするように両側に棚が並んでいる。図書館の外観からは想像することができないほどの本の数である。圧倒的な量である。もはや冊数ではない。物理的に1つの固体となって存在している。その固体にはほとんど誰も触れないのだろう、だから一固体に感じる。不完全な隙間もない。むしろ、その一固体を二分化することは罪であるとさえ感じさせるのだ。しばらく、書庫一層の回覧用デスクに座ってみることにした。体を明かりに慣らすためだ。時間はある。密度の低いものが、急激に密度の濃いところに入ると押しつぶされそうになるのだ。10分たった。僕は書庫のなかでもSM-23という棚にむかった。このSM-23の次の棚はSN-24なのかSM-24なのかは知らない。興味がないのだ。SM-23には歴史の本が並んでいる。昔の誰がどこでどんな戦争を起こして、どんな戦略で、どんな人と結婚して、どう死んだとか。この棚にはそれしか配列されていない。その棚の向かいや隣には違う種類の本が並ぶ。ぎっしりと詰まっている。むしろ、SM-23の棚に入るだけの歴史の本を集めた。それ以外は不必要とされたのだろう。そう考えた方が自然である。一冊も仲間はずれにされることなくぎっしりと詰まっているのである。ここの棚から何冊か読んだことがある。どれも知らない時代と人物と地名である。僕の知識が足りないだけかもしれない。しかし、歴史には一通りの自信があった。中学でも高校でも歴史は得意だったし、特に世界史は得意だった。成績もよかったし、何より好きだったからだ。SM-23は僕の自信を失わせるより好奇心を駆り立てた。しかし、まあどの題名も僕の知識と一致しない。学校で習う歴史なんて少しも意味がないのだ。重要な歴史と、重要でない歴史と二分する方が間違っている。僕は世間一般的な重要な歴史は知っている。その棚に配列されている歴史の本は実に面白かった。過去を綴ったものではなく、もはや小説のようにファンタジーなのである。中でもエトラという国の話が好きである。もちろん知らない国である。その本にはどうやってその国ができたのか、何年続いたのか、王様は何代いるのか、活躍した王子は誰でとかが書いてあった。内容からからヨーロッパのどこかであることは推測できた。親切にその国は今のどこどこの国の一部です。なんていう記述はなかった。必要ない。一般的に重要でない歴史であるし、それと現在とを結び付けても価値が損なわれるだけであるからだ。知らない歴史はファンタジーでいいのだ。 下から5段目と6段目の間から女の子の頭の天辺が見えた。僕の身長は175センチであるから、その女の子は160センチぐらいだろうか。頭の天辺を見ただけで、女の子で美人で若いことがわかった。髪は綺麗に茶色に染められていたが、染めてから最低でも1ヶ月は経っているのだろう。根元が地毛の色だった。女の子は5段目か4段目の本を見ていたのだろう。髪はよく手入れされていて、光沢があった。蛍光灯の無機質な明かりが反射して髪上に天使のリングができていた。お互いの距離はSM-23を挟んで70センチ程度であろうか。僕はどうしても女の子を見てみたくなった。ゆっくり書庫を貫いている長い廊下の方へ足を進めた。特に気づかれないようにする必要はないが、どことなくしのび足になっている。そのことは長い廊下に出る前に気がついた。書庫は深緑のジュータンをひいているため、しのび足には都合がよかった。まったく足音はしない。そして、女の子がいる筋を覗いてみた。彼女は僕が想像したとおりではあったが、美人というよりかわいかった。茶色のブーツに黒いタイツをはき、スカートはグレーのチェック、Vネックのセーターから白いシャツの襟が出ていた。横顔から鼻筋は通っており、茶色のめがねをかけていた。もっと観察したかったが怪しまれてもいけない。ふと彼女が読んでいる本が知りたくて棚を見上げてみた。そこにはRM-23と表記されていた。僕の予想は間違っていたのだ。その棚にはどんな本が並んでいるのだろうか。僕はRM-23の自分に一番近い本をとってみた。 まるで、僕に読まれたくないというようにその一冊は一固体の一部となっていた。無理に引き出すと横の3冊が扇子のように連なってでてきた。僕はそれを左手で押さえてはじめに手をつけた本を取り出した。それは物理の本だった。歴史の本の裏になぜ物理があるのかわからなかったが、とにかくその棚は物理の本で埋め尽くされていた。相対性理論とかなんとか。いささか歴史の本よりは現実性を感じることができた。この書庫の特徴に則れば、この棚には物理の本しかないはずである。彼女は理系の大学生なのであろう。この近くに理系の学部がある大学はすぐに検討がついた。また視線を彼女に移すと、しゃがみこんで下から2段目に手をかけていた。彼女との距離は6m程度。それから僕は回覧用のデスクに戻ってたまたま目に付いた歴史の本を開いた。この本も僕が知らない歴史で、ファンタジーで小説なのである。一般的に重要でないからだ。14ページに差し掛かかろうとした時。先程の彼女が僕の前の回覧席に座った。ちょうど斜め左の向かい合わせの席である。6人用のデスクはこの書庫に並んで2つある。書庫には今2人の人間が存在する、一般的には、彼女はもう1つの6人用のデスクに座るべきだ。一般的には。この世の中には常識として考えられないことが多々おきるのである。彼女との距離は1m程度である。
僕は彼女をサキと呼ぶことにした。勝手に名づけたのだ。他人に勝手に名前をつけるなんて僕の人生で初めてだったし、なぜそうしたかわからない。でも、正面から見た彼女はサキっぽかったのである、根拠はない。あったとしても、僕の経験から引っ張り出してきた彼女を彷彿させる名前だったのであろう。自然に思いついた。サキは6冊の本を抱えて席についた。どれから読むのかを迷っているのだろうか、両手に本をとって見比べていた。僕は視界の端でサキの行動を捉えていたが、本の題名はわからなかった。ただそれが物理の本であるということだけわかっていた。サキは先行動作もなく左手に持った本を脇に寄せ、右手に持っていた本を読み始めた。本を読む動作は実に美しかった。どうしても2歩下がって全体を眺めたかった。それから、僕はなぜサキが僕の左斜め前の席を選んだのかを考えることにした。視線はあくまで歴史の本に落としてである。仮説は3つあった。1つはサキが座った席は彼女がお気に入りの席であったこと。座り心地や照明の当たり具合など。もしそうであれは、サキの中で僕はただ邪魔な人でしかない。しかし、圧迫された空間で知らない人の近くに座るなんてよほどその席が気に入っているのだろう。僕は背伸びをする間にあたりにサキが重要とするもしくは、お気に入りの何かを探した。しかし、近くに換気用のダクトがあるだけだ。換気用のダクトなんて重要であるわけがない。2つ目の仮説は僕に興味があるからだ。もしそうだとすれば、積極的な女の子になるのだろう。僕は一見、草食系男子を彷彿させるが、中身はいたって肉食系である。趣味はだいたいアウトドアの関係だし、女の子には自分から声をかける。それに、僕は女の子には時間も感性も何もかもを振り回されたくない性格なのである。男と女に上下関係を持ち込むのなら、もちろん上に立っていたいということである。サキは僕の斜め左に座った以外は何もアプローチをしていない。ただ物理の本を読んでいるだけである。3つ目の仮説は無意識にその席に座ったということである。何も考えずに、僕という存在を感じずにただそこに座っただけ。僕はその3つの仮説を考えているうちに、できれば2つ目の仮説であればいいと思った。しかしそれは消去法的に考えた結果であり、それほど僕には歓迎的ではなかった。そんなことを考えているうちに20分程度が経過しただろうか。サキは一冊目の物理の本を読み終えた。それは写真集を見ているよりも早かった。僕は真剣になんか読んでいないのだろうと思う反面、サキの本を読む美しいしぐさやまなざしを視界の隅で感じるだけでどうも確信的な心情にはならなかった。現実的に考えると、サキはプロ級の速読能力を備えているのだろうか。しかし、読んでいる内容は物理であり、高校の物理をうまく理解できなかった僕にはいささか不思議でたまらなかった。おそらく式や図が多く記述されているのであろう。そんなものは速読できるはずがない。サキは2冊目へと移っていた。僕はその環境に集中できなかったので、トイレにいくことにした。トイレはメインホールにあるため一度階段を上らないといけない。これは僕にとっていい気分転換だったし、特に苦ではない。むしろトイレが書庫になくて歓迎的であると感じたぐらいだ。1階のメインホールは来たときと変わらず、ライオンの好意的な縄張りが展開されていた。そんな光景を横目にトイレに向かった。トイレで気づいたことは、はじめに感じた縄張りの印象と今さっき通ったメインホールの印象は違うことである。あきらかに今は好意的な縄張りに苛々しないし、気分が落ち着いている。これは僕の書庫での現象の反動であると考えた。その考えは僕の中で感覚的にロジックが成り立っていたのだ。トイレをでると書庫に戻った。今度は堂々とした足取りで席に戻った。絨毯であることを自分に再確認させるほどブーツのかかとを絨毯に時折引っ掛けて歩いた。たから3歩に一回ほど絨毯が「ザッ」と鳴いた。サキとの距離が10m程度になった時僕が奏でる男らしい絨毯の音色にサキが気づいた。サキは僕の目を見てまた物理の本へ視線を落とした。その表情は敵視したものではなかった。僕はその後の10mをしのび足で歩いた。そしてもといた席についた。それからどれだけの時間が経ったのだろう。サキは6冊の物理の本を読み終えて、もとあった場所に本を返しに行った。サキが本をもとあった場所へ返すことで、また本棚は一固体としての存在を成り立たせた。その安定感と同様の感情をうっすらとだが僕も感じた。ここにはサキと僕と本棚はあるが、現実的にはサキとそれ以外でしかないのだ。そう強く感じた。サキは本を返したついでに書庫の出口に向かった。足音から推測できた。それは普通の足音だった。絨毯とブーツがすれる音は一切しなかった。サキがトイレに行っている間、サキのカバンを眺めていた。茶色の革のバックだ。よくなめされていて、ブランドものではなかったが、質の良いものだと一目でわかった。良いものは良いのである。バックの横には手帳が置かれていた。黒い手帳。バインダー式で、中身を取り替えられるものだった。スケジュール帳なのかメモ帳なのか外見ではわからなかったが、どこかの本屋や文具屋で売っているようなものではなく、しいて言えば、母親からもらったものである。そんなイメージだ。次第に僕はサキの母親の想像に始まり、どんな家に住んでいるのか、飼っている犬の種類だとか、家族構成とか、大学での様子を勝手に想像した。僕はこの手の妄想に抜群の能力を発揮する。それが合っているのか、現実性を伴っているのかなんて関係ないのである。それは夢のようでさえあって、しかし、少しのエロスも介在しない。誰もが僕の妄想話を聞きたがるのである。所詮妄想であるからくだらない話ではあるが、僕の妄想話は人をひきつけるようだ。少しはき違えているが、法律的にも精神の自由として権利を認められているのである。読みかけの歴史の本に目を移すと56ページであった。サキが6冊読む間に僕は42ページ読んだ。だからどうなんだ。考えないことにした。サキは1冊20分程度で読み進めたのだろう。6冊の中に飛びぬけて分厚い本がなかったことを思い出した。とするとサキとは120分の付き合いになる。僕の思考はどうもサキでいっぱいなようだ。少し落ち着こうと背もたれに寄りかかった。ずっと前傾姿勢であったから背骨が伸びて気持ちよかった。古い木の椅子が少しだけ軋んだ。それと同時に覚えのある匂いがした。確かこれはブルガリの香水だ。名前は忘れたけど、昔の彼女がつけていたことを思い出した。香りは過去の記憶を非常に効率よく引き出してくれる。過去の思い出を思い出したその一瞬後に、右目の視界に長くて毛先が少し内側にカールしているのが確認できた。サキの髪の毛だった。一瞬でわかった。僕は驚いて背伸びを戻した。それと同時に椅子の前足が地面について鈍い音を立てた。 その音の後、間髪入れずにサキは、 「何の本を読んでるの」と尋ねた。懐かしい香水の香りが一瞬にしてタバスコの香りに変化し、脳天に突き抜ける感じがした。 僕は「歴史の本」と答えた。それで十分だったし、それ以上の説明は無意味だと感覚的にわかっていた。僕はサキの視線がページ数にならないようにとすばやく本をバタンと閉めた。その音は僕の意を反するようにサキと僕の間にこだました。 「同じ大学だよね」とサキは言った。僕はまだタバスコの刺激が抜けておらず、なによりサキとの距離が数十センチにあることが問題であった。何も答えなかった僕にサキは前かかがみに覗き込んだ姿勢を戻して 「今度学校であったら声かけてね」といった。僕は「うん」とうなずいた。サキは無駄のない動きでカバンに手帳を入れてバックを肩にかけた。そして僕の目をみてにっこりと微笑んだ。そしてサキは去っていった。僕はその後少しだけ笑った。自分に笑ってしまったのだ。客観的に考えて、この二・三時間の自分はどうかおかしかった。なにがおかしいのか考えないことにした。
次の日から大学でサキを探し続けた。ヒントは物理の本である。僕の大学は学部ごとに棟が異なっている。そのため、食堂や、学部に関係なく学生が集まる場所では常に意識してサキを探した。それでも見つからないので1週間後に理工系の友人にお願いして棟に入れてもらった。他学部の学生は自分の棟にしか入れないのだ。自分の学生証では扉が開かない。友人にはどんな研究施設かを知りたいと言った。一通り塔内を見て回ったがサキはいなかった。なぜこんなにも探しているのか自分でもわからなかった。あれから1年以上経つが僕の姿勢は変わらない。サキの香りはある種独立した香りであった。今でも鮮明に思い出せる。前の彼女のことなんかそこにはなかった。僕はブルガリの名前は忘れたこの香水の香りをかぐとサキのことを思い出すのであろう。
|
|