20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:認知症の母と息子の介護会話日記。かいごさぶらい<上>「ただひたすら、母にさぶらう」 作者:kaigosaburai

第1回   場当たり的、その場しのぎ、手探りの介護
         プロフィール

 「にいちゃん、わてどうなったん?あんた〜にいちゃんやろ〜?なんとかいいんかいなっー!」。この時の母の表情は、途方に暮れて、いまにも泣き出しそうだ。私は今でも、その時の母の何とも言えない表情が忘れられない。
 私は母の両肩を抱きとめ、
「心配せんでもえ〜、心配せんでもえ〜、兄ちゃんが付いてるからな〜」と、返事するのが精一杯のことだった。(私は、これが”徘徊”という認知症の、症状のひとつであることを、この時、知らなかった)。

 阪神淡路大震災で我が家は被災した。家は半壊(後に全壊と認められた)。母と私は、震災で全壊した、我が家の直ぐ近くに出来上がったマンションへ、転居することになった。
当時、母は80うん歳。私は50歳目前。母と私の二人暮らし。大震災のショック(私の推測だが)で、母に異変が起こった。
母は痴呆症(当時はそう呼ばれていた、現在は認知症)になってしまったのだ。
 マンションに移り住んだ直後から、母の症状は一気に進んだ。母は夜な夜な徘徊するようになり、突然怒りだしたり、泣いたり。そんな母を私は呆然と見ているだけであった。              
 認知症の症状は、私が思った以上に早かった。毎日進んで行くのだ。
私は、そんな母を見て直感的に母の言動や行動をメモることで、何とか対処しようとした。
       そして、その結果、私は、母が、
       何を言っても「逆らわない」ことに、
       何をやっても「怒らない」ことに、
       何があっても「大声を出さない(怒鳴らない)」
 ことに、したのだ。母の全てを、そのまま受け止める。「認知症」は「不安」の「病」だと、直感した私は、母と「どんどん会話」することで、少しでも母の「不安からくる気うつ」症状が、緩和出来るのではないかと、思ったのだ。「会話」することで、母が「笑顔」を見せてくれれば、それで良い。母が「笑って」くれれば、それで良い。場当たり的、その場しのぎ、手探りの介護を始めた。

このブログは、そう思った私(かいごさぶらい)と母との「介護会話日記」である。(注)

 (注)このブログの一部は既に、平成17年12月に「かいごさぶらい」のタイトルで書籍にした。(ブログをそのままダウンロードし、編集、校正を一切していない製本だけした、誤字脱字だらけの本である)。

 本書は、それをリライトし、校正、加筆.訂正を行い、ほぼ1年分のブログ日記を掲載収録したものである。
 2010年1月:タイトル:かいごさぶらい<上>B5版:ハードカバー、本文327頁。
ISBN:978−4−9904780−0−1。



次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 3139