途切れた視界に光が覗く。 嗚呼、朝なんだと思いながら、瞼をこじ開けた。
「ん…。」
「ミカド…!!!」
「カル、カナ…?」
瞼を開いた先には、カルカナの今にも泣きそうな顔。 俺は体を起こし、カルカナの頭を撫でた。 先程の様な顔ではなく、いつものカルカナの顔だった。 心配そうに眉を下げ、今にも泣きそうな瞳。 不安にさせてしまった。心配させてしまった。
だから何だっていうんだ。と数日前の俺なら思っていた。 だけど、謎が深まりながらも光を灯し始めた。 カルカナを・・・そんな悲しい気持ちにさせてしまうのは、良くないと思える。
「大丈夫だって。」
俺はカルカナの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
するとカルカナは涙を一粒流した。静かに流れるその涙に俺は見惚れていた。 ゆっくりと俺の顔を見つめ、口を小さく開く。
「ミカド…ごめんなさい。」
そう呟くカルカナ。 俺はその言葉の意味が解らず、”え?”と問い返した。 その瞬間に俺は後頭部を何か鈍器のような物で殴られた。鈍い音が脳内に響く。
だんだん視界が霞む中、止め処なく流れている涙に俺は手を伸ばした。 カルカナの左手には金色の厚い書物。
霞みゆく意識の中、俺は思う。
嗚呼…そんな顔で泣くなよ。
お願いだから。
カルカナ…。
……………………
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