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作品名:カルカナコトバ。 作者:

第15回   三日目〜曖昧と決断とコトバと

途切れた視界に光が覗く。
嗚呼、朝なんだと思いながら、瞼をこじ開けた。


「ん…。」

「ミカド…!!!」

「カル、カナ…?」


瞼を開いた先には、カルカナの今にも泣きそうな顔。
俺は体を起こし、カルカナの頭を撫でた。
先程の様な顔ではなく、いつものカルカナの顔だった。
心配そうに眉を下げ、今にも泣きそうな瞳。
不安にさせてしまった。心配させてしまった。

だから何だっていうんだ。と数日前の俺なら思っていた。
だけど、謎が深まりながらも光を灯し始めた。
カルカナを・・・そんな悲しい気持ちにさせてしまうのは、良くないと思える。


「大丈夫だって。」


俺はカルカナの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

するとカルカナは涙を一粒流した。静かに流れるその涙に俺は見惚れていた。
ゆっくりと俺の顔を見つめ、口を小さく開く。


「ミカド…ごめんなさい。」


そう呟くカルカナ。
俺はその言葉の意味が解らず、”え?”と問い返した。
その瞬間に俺は後頭部を何か鈍器のような物で殴られた。鈍い音が脳内に響く。

だんだん視界が霞む中、止め処なく流れている涙に俺は手を伸ばした。
カルカナの左手には金色の厚い書物。

霞みゆく意識の中、俺は思う。




嗚呼…そんな顔で泣くなよ。

お願いだから。


カルカナ…。











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