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作品名:カルカナコトバ。 作者:

第12回   12


俺はゆっくりと瞼を下ろす。
そしてまた、ゆっくりと瞼を開き、じっとキマイラを見つめる。


「なんだぁ?まだやる気か?」


キマイラはへらへらと笑っていた。
俺はそんなキマイラをただ、じっと見続けた。

すると、キマイラの後ろでカルカナが目を見開き、口元を手で押さえていた。


「ミ、ミカド・・・!!!」


カルカナが俺の名を呼んだ瞬間、それが何かの合図かのように、俺は口を開く。
キマイラをじっと見続けたまま。


「キマイラ・セルス・サーチラスよ。闇に落とす。」

「は、はははっ!!人間如きが、俺を落とせるのか?この俺を!!」

「・・・キマイラ・セルス・サーチラスよ、光からその存在は消え、闇の底へと堕落せよ。」

「はっ、人間如きのお前に・・・っ、う・・・っ?!」


俺の言葉がきっかけかのように、キマイラは胸を押さえた。
キマイラの銀髪の髪が、次第に黒く染まっていく。
金色の瞳は白くなり、キマイラは膝を突いた。


「あ、がはっ…!」

「キマイラ・セルス・サーチラス。苦しみから解放されたければ、この場所から去るがいい。」

「・・・く、はははははは!!!力が戻ったのか・・・く、俺としたことが・・・!」


キマイラはふらつきながらも、部屋の扉付近の壁に手をついた。
そして、キマイラの背中から灰色へと染まりかけた白い翼が現れる。

俺はじっとキマイラを見ているだけだった。
驚きもせず、ただじっと見ているだけ。


「・・・今日は退く。カルカナ、お前がちんたらしてると、また俺は来る。」

「・・・っ!!」

「あの方の言葉は絶対だ。守れない様じゃ、お前・・・。」

「わかって、おります・・・!」

「・・・ふっ、そうか。帝、次は・・・必ず殺す。」


そう言って、キマイラは壁に溶け込むように消えていく。
すると、窓の外でバサッという羽ばたく音が聞こえる。
きっとキマイラの羽音だろう。
・・・何とか凌げたということか。
俺はくるりと、後ろを振り向きカルカナのところまで歩み寄った。


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