俺はゆっくりと瞼を下ろす。 そしてまた、ゆっくりと瞼を開き、じっとキマイラを見つめる。
「なんだぁ?まだやる気か?」
キマイラはへらへらと笑っていた。 俺はそんなキマイラをただ、じっと見続けた。
すると、キマイラの後ろでカルカナが目を見開き、口元を手で押さえていた。
「ミ、ミカド・・・!!!」
カルカナが俺の名を呼んだ瞬間、それが何かの合図かのように、俺は口を開く。 キマイラをじっと見続けたまま。
「キマイラ・セルス・サーチラスよ。闇に落とす。」
「は、はははっ!!人間如きが、俺を落とせるのか?この俺を!!」
「・・・キマイラ・セルス・サーチラスよ、光からその存在は消え、闇の底へと堕落せよ。」
「はっ、人間如きのお前に・・・っ、う・・・っ?!」
俺の言葉がきっかけかのように、キマイラは胸を押さえた。 キマイラの銀髪の髪が、次第に黒く染まっていく。 金色の瞳は白くなり、キマイラは膝を突いた。
「あ、がはっ…!」
「キマイラ・セルス・サーチラス。苦しみから解放されたければ、この場所から去るがいい。」
「・・・く、はははははは!!!力が戻ったのか・・・く、俺としたことが・・・!」
キマイラはふらつきながらも、部屋の扉付近の壁に手をついた。 そして、キマイラの背中から灰色へと染まりかけた白い翼が現れる。
俺はじっとキマイラを見ているだけだった。 驚きもせず、ただじっと見ているだけ。
「・・・今日は退く。カルカナ、お前がちんたらしてると、また俺は来る。」
「・・・っ!!」
「あの方の言葉は絶対だ。守れない様じゃ、お前・・・。」
「わかって、おります・・・!」
「・・・ふっ、そうか。帝、次は・・・必ず殺す。」
そう言って、キマイラは壁に溶け込むように消えていく。 すると、窓の外でバサッという羽ばたく音が聞こえる。 きっとキマイラの羽音だろう。 ・・・何とか凌げたということか。 俺はくるりと、後ろを振り向きカルカナのところまで歩み寄った。
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