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作品名:カルカナコトバ。 作者:

第11回   11


「・・・お前、誰だよ。」

「名乗る程でもないけど…まぁいいや。一応教えてあげる。」


男はニヤリと口元を吊り上げ笑った。
俺とカルカナを防いでいた手を、男は腰に当てた。


「俺の名はキマイラ・セルス・サーチラス。」

「キマ・・・イラ。キマイラ…?」

「馴れ馴れしく呼ばないでほしいなぁ。」


そう言いながらも、全くもって嫌がってる素振りは見せていなかった。
ただ感じられるのは・・・殺意だけだった。


「まぁいいや。・・・キマイラ・セルス・サーチラス、これより帝を抹消致す。」

「そうはいかねぇ・・・よっと!」


俺はキマイラよりも先に動いた。

先手必勝とは、まさにこの事だろう。
俺は思い切りキマイラの腹部に蹴りを入れた。
キマイラは小さく呻き、目を見開き後ろによろめく。

そんな時、またミカドの声がした。


『コトバを使う者として、僕は存在する。』


コトバを使う者…?
どうゆうことだろうか。だがそんな呑気に考えてもいられなかった。


キマイラは腹を抑えながらも、苦しそうな声で笑った。


「はっ、はははははは!!!!!!やるじゃないか・・・!帝ぉ・・・!!!」

「そりゃ・・・どうも・・・!!」


俺はもう一度キマイラに蹴ろうとする。
だが、その蹴りはキマイラの手に取られる。


「・・・ちっ・・・!」

「・・・人間如きで、俺をどうにか出来ると思ったのかい?」


俺は、片足で立っているせいで軽くよろめく。
その瞬間、キマイラは俺の鳩尾めがけて拳を打ちつける。
その拳を俺は交わすことが出来ない。


「う、ぐっ・・・!」


息が出来ない。苦しい。
いや・・・出来ないのではなく、しづらい。

キマイラが俺の脚を離した。
俺は鳩尾を押さえながら、後ろによろめく。

そんな状態でも、先ほどのミカドの言葉が気になって仕方なかった。
俺は何度も頭で先ほどの言葉を繰り返していた。

どうすればいい。言葉・・・言葉の力?
そんなものがあるのか?言葉に力があるとでもいうのか・・・?


俺はふと思うのは、思い出す。
いつだっただろう。俺の父親が言っていた。

”言葉には力が宿るんだよ。帝は誰かを救うような言葉を使えるといいね。”

言葉には力が宿る、そう父さんが言っていた。

・・・力が宿る。

そしてミカドは言っていた。俺はミカドで、ミカドは俺だと。

ならば・・・!!!!


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