「・・・お前、誰だよ。」
「名乗る程でもないけど…まぁいいや。一応教えてあげる。」
男はニヤリと口元を吊り上げ笑った。 俺とカルカナを防いでいた手を、男は腰に当てた。
「俺の名はキマイラ・セルス・サーチラス。」
「キマ・・・イラ。キマイラ…?」
「馴れ馴れしく呼ばないでほしいなぁ。」
そう言いながらも、全くもって嫌がってる素振りは見せていなかった。 ただ感じられるのは・・・殺意だけだった。
「まぁいいや。・・・キマイラ・セルス・サーチラス、これより帝を抹消致す。」
「そうはいかねぇ・・・よっと!」
俺はキマイラよりも先に動いた。
先手必勝とは、まさにこの事だろう。 俺は思い切りキマイラの腹部に蹴りを入れた。 キマイラは小さく呻き、目を見開き後ろによろめく。
そんな時、またミカドの声がした。
『コトバを使う者として、僕は存在する。』
コトバを使う者…? どうゆうことだろうか。だがそんな呑気に考えてもいられなかった。
キマイラは腹を抑えながらも、苦しそうな声で笑った。
「はっ、はははははは!!!!!!やるじゃないか・・・!帝ぉ・・・!!!」
「そりゃ・・・どうも・・・!!」
俺はもう一度キマイラに蹴ろうとする。 だが、その蹴りはキマイラの手に取られる。
「・・・ちっ・・・!」
「・・・人間如きで、俺をどうにか出来ると思ったのかい?」
俺は、片足で立っているせいで軽くよろめく。 その瞬間、キマイラは俺の鳩尾めがけて拳を打ちつける。 その拳を俺は交わすことが出来ない。
「う、ぐっ・・・!」
息が出来ない。苦しい。 いや・・・出来ないのではなく、しづらい。
キマイラが俺の脚を離した。 俺は鳩尾を押さえながら、後ろによろめく。
そんな状態でも、先ほどのミカドの言葉が気になって仕方なかった。 俺は何度も頭で先ほどの言葉を繰り返していた。
どうすればいい。言葉・・・言葉の力? そんなものがあるのか?言葉に力があるとでもいうのか・・・?
俺はふと思うのは、思い出す。 いつだっただろう。俺の父親が言っていた。
”言葉には力が宿るんだよ。帝は誰かを救うような言葉を使えるといいね。”
言葉には力が宿る、そう父さんが言っていた。
・・・力が宿る。
そしてミカドは言っていた。俺はミカドで、ミカドは俺だと。
ならば・・・!!!!
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