そうカルカナは叫んでいた。 俺はそんなカルカナに・・・どうにもしてやることが出来ないのかと思うと、切なくなった。 胸が苦しい、ギュッと何かに縛り付けられるような、そんな痛み。
何度も感じていた、カルカナと出会ってから。 時折感じさせるこの感情は何だというんだろう。
そしてこの感情を抑えるには、一体どうすればいいのだろう。
「離してください…!お願いです…!ミカド…っ。」
「無理、離さないからな。」
そう言った瞬間、頭に響くあの声。 夢で何度も聞いた・・・そう、あのミカドの声だ。
『君を・・・愛しているだけなんだ。』
それは、嘆きの様な声。 諦めたような言い方。だが、俺には何故だか解る。
・・・諦めきれないという声。
「ミカド!はなしてッ・・・!」
「ほーらやっぱり無理じゃないか。」
「!!」
俺とカルカナは声のする方を向く。 そこには長い銀髪をポニーテールのように結った美形と言われる男が立っていた。 壁にもたれながら、口元を吊り上げながら俺達を見ていた。
「あ、あなたは…!」
「お前には無理なんだよ、だから言っただろう?」
見知らぬ男がスタスタとこちらに向かって歩く。 鋭く俺を睨む瞳は金色に輝いていた。 俺は、自然とカルカナの手首を掴む指が解けた。
今、きっとヤバいのはコイツだと、本能がそう悟ったのだ。
「カルカナ、そこ邪魔。」
「きゃぁ!!」
「カルカナ!!」
男はカルカナの翼を掴み、床に叩き付けた。 俺はカルカナの側に近付こうとすると、男はその手で塞がれる。
・・・カルカナとコイツはどうやら知り合いの様だけども・・・。 何故、知り合いがそんな酷いことをするのだろうか。 俺は、男をキッと睨みつける。
「おっと。貴様はそのままでいろよな。」
「は?んだよ、邪魔だ、退け。」
「そうはいかないな。・・・帝。」
「・・・!!何で俺の名前を…!」
「・・・さぁ?」
男は肩を軽く上げ、ケラケラと笑った。鋭く睨みつけて来る視線は変わらず、笑った。
俺はカルカナの方をちらりと横目で見る。 カルカナは小さく呻いた。 どうやら気は失っていないようだった。 その事に、俺は安堵した。
だが、今はきっと俺の立場の方がヤバい状況なのだろうということも解っていた。
|
|