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作品名:続 闇の権力者たちの近代日本史 作者:佐々木 三郎

第12回   白人女の価値観
白人女の価値観

 田中の家では大平、坂本、東郷、アンが二人の足取りを追っていた。携帯から発する僅かな電波で位置がわかる。時代も進んだものだ、この旅でヘンリーも変わるだろうと田中が口を開く。これは俺の提案だ、と大平がむきになる。そうだったな。全員が笑い声をあげる。
 「この男の眼は闇を見つめています。白日のことは見えないのでしょう」と山田清美の言葉を伝えると大平が感心したように言った。闇を見つめるか、山田さんの眼は清らかで澄んでいる。だからさヘンリーには旅をさせて日の光を浴びさせればいいれるいいんだ。いえるな。ああいう娘を愛人にできたら幸せだな。田中は白井さんがお気に入りでなかったか。菖蒲も良し杜若も良しだ。

 アンは大平の居候をして東郷を連れ歩いている。坂本が東郷に押し付けた感じだ。明日フィリピンに帰りますと坂本が言った。アンの面倒を見てくれとの通告である。東郷が黙って肯く。既に義兄弟の中である。その夜はアンにホテルで組み伏せられて坂本は喘いだ。勘弁してくれ、身が持たないと叫びそうになった。

 あくる日、アンと東郷が成田まで送ってくれた。エゲレス女はすごいなあ。東郷はにやにや笑う。搭乗ゲートに向かう坂本は強烈なアンの接吻を浴びせられる。身から出た錆か。後はよろしくと東郷に目で訴える。東郷も目で答える。三角関係はしっくりと行っている。何のわだかまりもない。同時に二人の男を愛しても気にしないのが白人女か。純粋にセックスを享楽しているのか。そのことに戸惑いはない。価値観の相違といってしまえばそれまでである。文化の相違かも。純粋ということは概していいことだ。

 JALがマニラに到着するとユキが出迎えてくれる。やはりこの女といると落ち着く。何が欲しい。果物ジュース。セールどこへ行くか。運転手のセヴァスチャンがドアを開ける。SM,果物ジュース。OKサー。SMは日本のスーパーとデパートとのアイの子だ。マンゴー最高だな。塩崎のお母さんが食事作ってくれるって、今晩は全員集合。全員。陳一家、カルロス家、山田家の全員。久しぶりだなあ。

 一風呂浴びて疲れをとると坂本は裸でまどろんだ。ユキがブコジュースを運んできた。椰子の実はココナツより若いのはブコと呼ばれるが違いはわからない。女が強壮効果あるとこれを男に飲ますのはそれなりの意図がある。お前ジュース出ているか。え、何、スケベ、早すぎるわ。どれどれ看てやろう。だめよ。濡れてるじゃないか。髪が濡れてるのよ。洗い髪は色気がある。ユキを引き寄せると覆いかぶさってくる。何笑っているの。好きにして。それって女のセリフよ。お前が一番美味い。本当。世界一。嬉しい。
 真知子から電話だ。皆さんお揃いよ。すぐ行きます、お母さん。もうだめ許して。何言ってんの、パーティ始まるわよ、さあ支度して。シャワーで汗を流しながら激戦の跡を見やる。満足か。満足、疲れた。さもありなむ。

 塩崎家に全員集合だ。坂本さん、お帰りなさい、さあ乾杯しましょ、柳さん。僭越ながらご指名によりまして、坂本さんの帰国祝いと皆様のご健闘を祈念して、乾杯!カンパーイ。お母さんの料理美味しい、でも何を健闘するの。互いに全力を出し切り健闘を讃え合う、和合の心じゃござらんか、のう
塩崎殿。山田さん、私に訊かないでください、で、ユキさん終わったの。終わりました。何が終わったのかしら、細君。そりゃあれでしょう、アンジェりータ。でしょうね。坂本さん少しやせましたね。そりゃ日本の女は情が細かい。カルロス、あなた経験したの。いや、そう聞いている。アンジェリータの訊問にたじろぐ。
 陳さん、あなたは。いや、右に同じ。国際交流なさらなかった。未だ。なさってないのですね(細君さん、それぐらいで許してあげては)(そうですね、清美さん)くくくと三人の女が笑う。三人だけのテレパシーだ。

 あの痩せ方は白人女に犯されたのでしょうな、柳さん。その可能性が高いでしょうな、山田殿。坂本さんは女難の相があればなり。げに。そのような難儀なら遭ってみたいよ。俺もだ、陳。各々方、夜ごと白人女に抑え込まれると恐怖でござるよ。フォウル負けか。それはひどいぞカルロス。わるい、わるい。今度男連合軍で世界各地に研修に出ますか。それは何より、柳さんを団長に。異議なし。企画立案はカルロス適任ある。賛成、適任。


 一方、女連盟も負けていないようだ。これにシャラザード、白井貴子、アンヘンリーが加わるとどうなるであろうか。父よ、泳ぎを観てください。おお、南海男上手くなったか。はい、少しは。南海男の泳ぎはみごとであった。
拍手と歓声。子供たちが南海男に続く。見よう見まねで水を切る。龍治の嬉しそうな顔。彼は私たちの男である前に子供たちの父親ですね。
ママ、その前に私の夫よ、とマリアが語気を強める。そうだったわね。梅雲が笑う。あなた達ももっと子供を生みなさい。はい、媽媽。清美お前も頑張るのだよとイメルダ。そうすると坂本さんの食事が大切ですわね。お母さんスケベ。なんですかユキさん、大切なことでしょ。すみません。そうね、滋養栄養のあるレシピをみんなで考えましょう。


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