カナンの独白
なんと美しい国だ。豊かな自然の中で人々は平和に暮らしている。問題は地震が多いこととこの民族の心が最近荒んでいることだ。3.11の震災にも健気に復興を目指している。ここでは人間と自然は対立するのではないようだ。優しい人々の心を荒ませるのは神の意志に反するのではないかと思うようになってきた。
サカモト、これを妻に送りたい。いいとも、ネットカフェに行こう。白井貴子を伴って3人で小奇麗な店にいる。しかし奥さんにもっと愛を込めた文章が書けないのか。取り敢えずこれを送ってみたい。好きにするがいい、そうだ、話もできるぞ。妻と?勿論、他の女は良くないぞ。 カナンはSKYPEで妻と話す。ワシントンは8時間の時差、うまくつながったようだ。奥さん、ガイドのサカモトです、ご主人は重要な仕事を日本でしています。半年以内に彼をあなたの下にお連れしますから費用として50万ドルご用意ください。彼とは私のカナンですか。そうです。私は貴方を信用することができますか。できます、なぜなら私はたとえ死んでも約束を果たしますから。分かりました、信用します、一緒にいる女の人はどういう人ですか。私の秘書ですからご心配は要りません。そうですか、安心しました。明日使いを寄こしますので小切手をご用意ください、ではご主人とごゆっくりお話ください。小切手を用意します、ご配慮感謝します。カナン、邪魔したな。 白井貴子もネットを楽しんで居る。坂本もユキと話す。ユキさんだけでいいのですか。そうだな、他にも不義理しているからな。昨夜、坂本は貴子を求めた。貴子も拒まなかった。人屋根の下で過ごすのだから当然かもしれない。しかし、日本人の倫理観からは不倫である。カトリックも不倫は厳しく禁じて居る。まあできてしまったから、仕事の相棒とは阿吽の呼吸がいるとか、と下手な口実を考えてみる。
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