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作品名:女の敵、強姦魔 作者:佐々木 三郎

第23回   23
暴走族捕獲作戦


翌日、住宅団地にはテレビ局がカメラその他の機材を運び込んだ。公園人は集音マイクが取り付けられ、物見台にカメラが設置された。このほかテレビカメラは全部で7台が配備され入念なテストが行われていた。公園わきの集会所は臨時の取材本部、取締本部となった。電話回線も選挙事務所並だ。

夕方までに準備は完了した。あとは開演を待つだけである。午後11時電話が鳴る。「こちら利根川中継所。只今暴走族の第1陣約20台通過」「了解」「こちら水戸駅前。暴走族30台整然と隊列を組んで筑波方面に向かっております」「了解」つづいて栃木群馬埼玉千葉からも連絡が入ってくる。

どうやら午前零時を集合時刻としているようだ。暴走族とはいえ道交法違反等の事実がないと取り締まることはできない。日頃歯がゆい思いをしていた警察も今日こそは一網打尽にしてくれるわと張り切っていた。集合してきたオートバイ300台余り。「宵の明星の釈放を」とシュプレヒコールを上げて団地内を暴走し始める。団地は爆音に包まれる。8mのメイン道路を疾走する。やがて団地内の道路を巡回し始めた。住民は固唾を飲んでテレビに見入る。YBCは臨時ニュースとして団地の暴走族を放映し始めたのだ。

 突然ラジコン機がメイン道路の暴走族を襲う。催涙ガスを散布してゆく。2機目は催眠ガスを、そして3機目が蛍光塗料を浴びせてゆく。これが数度繰り返された。多くの暴走族はバイクを降りて咳をしている。残りは逃走を図る。

東の出入り口は国道6号線に通じているが団地に繋がる進入路はL字のクランクがある。ここでバイクは次々と転倒してゆく。テレビカメラがアップで捉える。そこにはグリスが蒔かれていたのだ。他の入口近くでもタイヤがスリップして空転すると投げ出されて川に跳び込む者までいた。急ブレーキを掛けた者はアイスホッケーの如くバイクごと滑ってゆく。テレビの前は拍手喝采である。この瞬間視聴率は40%を超えた。


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