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作品名:女の敵、強姦魔 作者:佐々木 三郎

第12回   続ロンダリング
続ロンダリング


浪漫建設の会議室で額面5000万円の小切手10枚の現金化が話し合われた。香川こと矢野は寝込んだか欠席なので島崎社長、吉良信介。国本忠二。駒込直美、松崎敬子の5名だ。「私の考えを書きますね。たたき台にしてください」と直美がボードの前に立つ。
中野良子1、香川健3、手数料1=100万×10人、撮影報酬1、残り10単位千万。「提案趣旨を説明します。被害者10人に各人の口座に小切手を預金させます。3日後に4500万円出金させます。1000万が彼女らの取分」「ちとひどいのじゃない」「これだけで1000万稼げる商売ある。泣き寝入りしたんだから一人100万で御の字よ」「中野さんはまるまる1000万」「当然、彼女がこの仕事をもってきたのよ。」「それはそうね。肝心な報酬は」「原資5000万を5で割るとはいかないでしょ。でも私と敬子にも100万ずつはくれるんじゃない。まあ国本社長の腹次第だけど。いけない島崎さんの分忘れてた。5000万くらいの小切手島崎さんに買い取ってもらえば被害者など使わなくていいか」

国本が3憶はどうするのかと質問した。「すべて先生の受け売りですけど5年で100倍にするそうです。日本国中にいる被害者を救済する組織にすること、国本吉良さんの退職金は3億でないと恰好がつかない。私たちの報酬は被害者を救済するという満足感ということです。被害者守る警備会社も設立してそうです。

国本と吉良は矢野の考えに感心した。まず原価計算と利益処分だ。「水揚げ5億で考えるといけないということでしょうか」「そうですね社長。3億は会社のものですから2億が水揚げですね」「ということは、ええい、くそー、俺たちが自由になる金は3000万がいいとこかい」「ちげえねえ。香川先生が1割と言われたがいい線かい」「んだな。考えたこともなかったが勉強になるな」

島崎社長が「配分は現金化してからの話でしょう。捕らぬ狸の皮算用になりませんか」と質したが「心配ありません。国本査察官、吉良捜査官の報告から被害者は必ずこの話に乗ってきます。島田博子と木村寛子で試してみましょう」駒込直美は自信たっぷりに答えた。「税務署対策はだいじょうぶですか」と島崎社長。「秘策があります。これは私が考え出したものです」「で、どんな秘策なの」「秘密」「でも彼は、香川先生は上手くいったら黙っているけど失敗したらなんで勝手にやったと言うでしょう」「ちげえねえ」(笑い声)「10年も側に居たら手口性格頭に入っている。全額回収に10万賭けてもいい」

島田博子と木村寛子の結果みて残り8名分の回収にかかることとなった。国本は島田博子の胸に顔を埋めてつぶやく。「こんな仕事辞めたい」「どうして」「貧しい人から税金を取立、金持ちの脱税は目をつぶる」「世の中そんなものよ」「僕は許せない。税金が国の為有効に使われるならわかる。徴税は必要だが金持ちの懐に半分は返ってゆく」「半分は公共に使われない」「そうなんだ」
「嫌なら辞めなさい。私が食わしてあげる」「そんなことできるか、紐になれるか」「ごめんなさい」「この小切手君の口座に入れてくれないか」「いいけど銀行振出なら現金と同じじゃない」「2,3日あづかってほしいんだ。少しずつ引き出して貧しい人たちに還元する。勿論税務署の対策はしてある」

 数日後国本は島田博子から4500万を受け取る。「残りは」「君が使ってくれ。この金は手形が落とせなくて困っている人に用立てるつもりだ。金曜日会えるか、ちょっとしゃれたステーキの店見つけた」「私を連れてってくれるの」「ああ」
 吉良信介は短兵急だ。ホテルでやることをやると木村寛子に「この小切手を君の口座に入金してくれないか。捜査上確かめたいのだ」と手渡す。「銀行振出なら問題ないでしょう」「常識的にはな、奴らマフィアは手口が巧妙だ。逆手に取って反応を見たい。君は来週4500万を引き出して来てくれ」「500万は」「君のお小遣い。心配するな、警察や税務署に訊かれたら言えませんと答えればいい。私より小切手を振り出した人に訊いたらどうですかと言ってやれ、その状況が知りたいのだ」

翌週吉良は4500万を受け取ると「気を付けろ、奴らが動き出す。君の警護はFBIに頼んであるが心配だ。同僚がニューヨークに転勤したので軽井沢の別荘の鍵預かった。3日ほど過ごさないか。僕も木曜日から休暇をとる」

国本、吉良の報告を聴いて残り8名分の回収:現金化が検討される。「島田博子と木村寛子に分担(同じ手口を)させるのがいいでしょう」駒込直美は断言するように言った。しかし矢野の反対で小切手を島崎に9掛けで買い取ってもらった。小娘が5000万円の入金とは不自然という理由だ。4.5憶の現金は段ボール箱5箱。とりあえず浪漫建設の金庫にしまった。しかし金の実感がわかず全員ため息をついた。
鬼頭善之助は気前がいいなあ。やはり犯行ヴィデオか、製作費1000万は安いか。財閥の名誉のため表沙汰にしたくなかったのでしょう。身代金も安かった。欲過ぎ、庶民とは感覚が違うのだ。ドラ息子には財閥も手を焼いていた。二人とも応えたようです。安い授業料か、しまった、犯行手口書かせるべきだった。ご心配なく、全部録音してあります。さすが仁吉、貴重な教材だ。この録音は繰り返し聴いて要点をテキストにまとめていった。

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