20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:女の敵、強姦魔 作者:佐々木 三郎

第10回   10
刑事鮫島久蔵

明くる日柴田瞳が別のヴィデオテープを届けに来た。「監督お礼です。香川は急用ができましてくれぐれもよろしくと申しておりました」と50万円を包む。「学生たちにはいいバイト」「何かありました」「学生の一人が警察に補導されましてね、厳重注意ですみましたが一応お耳に入れておこうと」「わかりました。対策します」「あら懐かしい写真ね」「恥かしいのですが香川が」
柴田瞳は写真集美しき裸像の思い出、近況などを語って帰って行った。直美は19の時のヌード写真集を思い出していた。今にして思えばよく撮ったものだ。既に3ヶ月を過ぎた腹をさすってみた。

話を聞くなり香川健は吉良と国本を呼びつける。「刑事と話をつけろ」「取引ですかい」「そうだ。これも持ってゆけ」親にも慰謝料支払い能力のない強姦者のリストだ。「年間売上目標30億だぞ」「わかっております」「てめえらあと4年で会社を軌道に乗せ後継者を育てにゃならんのだぞ。いつまでもあると思うな親と金」「行って参りやす」と逃げ出す。「神田小町が良くなかったなあ」

二人はホテルで土下座した刑事に渡りをつける。「いいしのぎしているようじゃないか」「鮫島さん邪魔しないでもらいたいんだがなあ」「何のことだ」「学生パクったでしょうが」「あれか」「上からの」「ああ。すまじきものは宮仕えだ。飲みてえ気分だ」「これから人形町の瓢という小料理屋で待っています」「そいつは有難い、つかず離れずついてゆく」

瓢では「これをあてにやってて。すぐ何かつくるから」「すみませんね奥さん」「いいんですよ、旦那にはお世話になっているそうで。お前さん酒はひやでいいかい」「いいとも」「奥さん俺のタイプだがな」「嫌ですよ、ほんきにしますよ」入口の鍵をかける。「実はな鬼頭大介は前から追っていたのだ。今日こそは現場を押さえてと勇んで出かけると逃げられることが何度もあった。
こちらの動きが漏らされているとしか思えない」「それも上の方から」「そうなんだ。でもどうして」「そんな気がしたもんで」「奴にやられた娘は50人以上だ」「ひでえ話で」「あるときなんざ駆けつけたら犯された後だ。19歳の娘さんだったが病院に行くのを拒んだ。犯人を知っている感じだった」「前にもやられて顔を憶えていた」「それもあるが素性もだ」

 鮫島久蔵は見かけによらず純情な感じがした。「俺の娘なら奴をいびり殺してやるつもりだ」「鮫島さん、そういうのをこちらに回してくれませんかね。そのかわりというか、こいつらは病院に精液を保存してあります」「そうかい、被害届は出してくれねえだろうが説得してみるよ」「犯行写真もありますぜ、もっとも写真の出所をつつかれると困りますが」「本当かい。自白させるには役にたつ。立証は被害届と精液で十分だ」「写真撮影とそちらの情報との取引と言うことで」「いいともさ。精液もつけてくれねえか」「承知しやした
。おい、酒だ」「あいよ」「ここをつなぎの場所にしてくだせえ。他の客がいるときは支払いと領収書を」「気を使ってくれるのか」「そのうちご迷惑にならない方法で礼はさせてもらいます」「有難いが飲ませてくれるだけで十分」

 鬼頭善之助四菱重工専務 へ


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 14971