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作品名:合唱物語 作者:佐々木 三郎

第21回   駒込直美写真集
駒込直美写真集

香川健は香川京子の出産、出生届、離婚、谷和子との婚姻届という手続を何度も頭の中で繰り返していたがこれにモニカが加わると頭が疲れてくる。最終的には矢野健に戻る。自分にそう言い聞かせていた。だから駒込直美に「矢野さん、矢野先輩」と呼ばれて狼狽したのだ。

駒込直美は土日祝日にやってきては香川の仕事を手伝った。浪漫建設の仕事も気安く手伝う。来る人ごとがいい事務員さんが来てくれたねという。これもかたをつけねばなるまい。駒込直美が退職して香川の事務所で働くだろうか。

島崎は香川を臨時職員としていた。給料も現金でくれた。「先生、失業保険は貰えるだけもらってください。宅建主任が必要になったら正社員になっていただきます」「心得ております」脱サラすると健康保険が社会保険から国民保険になる。保険料は全額個人負担となる。駒込直美が事務所に来てくれても後継者として行政書士の資格をとって独り立ちできるのは先の先のことである。
駒込直美は一時間前に出社し掃除している。電話の応対もうまく使い分ける。島崎の奥さまの覚がいい。「あなた、島崎社長、いっそうちに来てもらえないかね」「駒込さんか」「大手みたいにはいかないけどさ、給料弾んで」「それはうちの勝手な了見だ。大手だと縁談にも」奥さんは最後までいわさない、「私聴いてみる。本人がいいといったら雇ってよ」「香川さんにも相談しないと」香川自身臨時の身で失業保険受給者である。あと半年で資格がなくなる。駒込直美を雇える身分ではない。浪漫建設の正社員として雇ってもらい形だけの出向とした。給料は出向料として浪漫建設を経由して支払われる形にするか。そんな心配はすぐに吹っ飛んだ。駒込直美が「会社辞めました。この事務所でやとってください」とことなげに言ったのだ。産廃処分場の許可取得と報酬3千万がきいたか。

島崎社長は浪漫建設で雇って香川行政書士事務所に出向がよいのでは
という。社会保険、安定性から言ってもそれがいいのだが駒込直美を独占したい気もある。業務が軌道に乗れば事務所に籍を移すかとも考えたが当分島崎案で行くことにした。「本籍浪漫建設、現住所香川行政書士事務所でいいな」「はい、ありがとうございます。先輩これからもよろしくお願いします」「駒込さん、先輩じゃなく先生でしょ」と島崎社長が笑った。

だがこれにて一件落着とはいかなかった。人生とは思うようにはならない。香川に駒込直美を独占支配する、つまりものにするという思いが頭をもたげてきた。事務所を任せゆくゆく継がすつもりだが、事務所の秘密保持が絶対である。これを担保するには駒込直美を支配することが必要である。それには裸体写真がいい。
香川は写真機を購入した。業務にも必要である。とくに現場写真は言葉では言い表せない。駒込直美の写真も撮ってやった。少し大きめのアルバムも与えたが直美はうれしそうに貼り付けてゆく。香川健は次第に目で見た映像と写真画像にズレがあることに気づいた。プロはこのズレを計算しているに違いない。

香川は100万円でパソコンを買った。初任給が3万だったから思い切った投資である。しかし1年足らずで元をとった。表計算は抜群である。データの保管も考えれば書類が減るわ、検索が簡単だ。駒込直美はたちまちパソコンを使いこなした。業務の効率は3倍以上に上がった。これを見て浪漫建設も導入に踏み切った。香川はパソコンメーカーの営業マンを呼んでマージン1割で紹介してやると言った。しかも領収書なしである。営業所長が現金10万を持ってきた。「所長の顔も立てなくてはならないな」と行政書士会に紹介する。

 会員の紹介だから行政書士会の事務局長も会長も購入を決めてくれた。さらに会員向けの紹介まですると約束してくれたのだ。すぐ5台が売れた。営業所長が「会長さん事務局長への謝礼は」と訊いてきた。「10台ごとに1台分」と答えた。「先生の分は」「別の仕事をいただければ」100台を超えるのに半年もかからなかった。今度は支店長が挨拶に来た。「会長は全国行政書士会の会長も兼任されてますからゴルフか食事に招待されてはどうでしょうか」
300台を超えると営業本部長が挨拶に来た。「パーソナルとは一人一人が持つことでないでしょうか。時代の要請と思います。私どもでさえもう1台欲しい。さらに2台のデータを共有して保存もしたいのです。士業の先生方も同じでないでしょうか」

1000台超えると料亭に招かれた。社長直々の挨拶があった。「日本民族はこういう機械を好みます。国民すべてが使う時代がすぐくるでしょう。原価低減とくに流通コストの逓減をお願いします。その頃は販売価格も1割以下になっているでしょう」
社長はさすがという顔をした。「インターネットの普及を見込んで画像を取り込めるようにしていただきたいですね。日本のパソコンが世界市場を支配してくれることを祈っております」画像取り込みはデジカメの登場まではスキャナーの開発が急がれていたのだ。数年後複写機からの取り込みができるようになるのだが香川は時代を先取りしていたのだ。 

香川健の駒込直美へのしごきは厳しさを増してゆく。「ごめんですんだらおまわりは要らない。プロに過ちは許されない。依頼人は死ぬか生きるかの思いで事務所を頼んできているのだぞ」駒込直美は目に涙を浮かべながらもくじけたりしない。「もう少しやさしくできないのかねえ」と島崎の奥さんがいう。ある時は「背筋を伸ばせ。これは何だ。全体を観てみろ、おかしいと感じないか。目を噛んで死ね」と怒鳴った。「わからないか。当期純利益」「間違っています」「人間のやることだ、間違いはある。だがそれに気づかないことは許されない」「どうやって気づくのですか」「おまえの作った損益計算書と貸借対照表は別の会社のものか」
駒込直美は普通高校卒だから簿記会計の知識はないが、既に作成した決算書は30を超える。「同じ会社のものなら当期純利益は一致するはずだ」「9違います」「税理士の決算書と比較するのだ。多分この辺りだろう」34を43と転記ミスをしていたのだ。駒込直美は尊敬のまなざしを向ける。                                  

島崎の奥さんが「たまにはどこかへ連れてってあげなさいよ」と言った。島崎も「軽井沢の別荘はどうだ」と話に乗る。「それがいい。先生レンタカー借りていってらっしゃい」ということになった。万事好都合にことが運ぶものだ。早速車で出かけたが駒込直美は免許を取ってから初めての運転なので香川健は少し緊張した。すぐ香川が運転を代わった。都内を抜けて休憩がてら食料品買った。駒込直美は新妻のように振る舞う。「先生つかれません、運転代わりましょうか、運転はたのしいけど、慣れてないから怖い」「教習所で馴らしてこい」
別荘では管理人が昼食を用意して待っていた。ベランダで湖を観ながらの食事は日常を忘れさせる。ワインで乾杯する。「月に一度はここで過ごしたいな」「素敵ですね」「お前が事務所を切り回してくれるなら一人増やしてもいい。高校の先生に頼んで置け。行政書士が事務所でいるようではだめだ」事実既に実務は直美に任せている。駒込直美は自分が香川に信頼されていると思っていた。

 健は直美の手を取っていった。「ボートに乗るか、その前に写真を撮ろう。そこに立て、湖を観る。今度は見返り美人」10枚ほど撮って湖にむかう。女を口説くのはボートがいい。逃げられることはない。同じ運命だ。「気持ちいいですね」直美が深呼吸する。形の良さそうな胸がふくらむ。健はシャッターを切る。「仕事が任せられるまでお前を女と見ないぞ」直美が赤らむ。「そうなったらこんな別荘買ってやる」「本当ですか。頑張ります」「今年中にマスターしろ。来年の春にはお前の後輩がくる、みっちり仕込め」ボートが湖の真ん中まで来た。「うわーよく見える。浅間山ですか」「だろうな、歌かなし佐久の草笛」反対解釈すれば女と見ているが我慢しているとも取れる。人は自分に都合にいいように解釈する。
 健はボート岸に付けると先に降りて直美の手を取る。直美が飛び降りた瞬間抱き寄せた。そっと唇を重ねた。直美が目をつぶる。体重を預けてくる。乙女の身体が熱ってくるのがわかった。高原の径は白樺の間を抜けてゆく。直美は健の肩に頭を寝かす。この時二人は恋人たちになった。

 別荘でシャワー浴びる。直美がバスタオルで出てくるとカメラを向けた。ベランダに立たせてシャッターを切る。清楚なだけにいい写真なるだろう。ベッドに寝かせて角度を変えてシャッターを切る。横向きになると直美の身体の線がよく出る。シャッターを切りつづける。フィルムを交換しながら「バスタオルをとれ」と命じた。直美は躊躇ったがバスタオルを外した。着やせがするのか結構豊かな姿態である。健が夢中でシャッターを切る。膝をかかえろ、うつ伏せになれ、膝を立てろと注文する。フィルムが無くなると「よし、いいぞ」と言った。健がフィルムを巻き戻していると「先生も」と直美が言った。えっと顔を上げると「抱いてください」と手を差し伸べる。

 健は一瞬ためらったが激しく直美の唇を吸って耳を噛んだ。首筋に唇を這わすと小さな声を立てる。乳房をそっと噛む。ああと悶える。時間をかけ全身に唇を当ててゆく。直美の性器も蕾のように可愛い。やさしく舐めるとうめき声を立てる。舌で押し開くと身を捩る。「恐くないか」「ええ」健を直美の入口に当てて撫でる。直美は両腕を胸に合わせて身体を震わす。亀頭をちょっと差し込むと叫び声を上げた。「痛くないか」「大丈夫です」「深く入れるぞ」「全部ですか」「当り前だ。これから結婚するのだ」「はい」
 直美も顔を歪めたがうれしげな表情を見せる。直美は濡れていなかったが矢野の先が濡れていたと考えられる。これを写真に撮るべきだったなと香川は悔やんだ。直美を抱き起して膝に乗せる。「これが結婚だ。男と女になることだ」「うれしい」と直美が香川を見つめる。やさしくキスをする。乳房を噛むと直美がのけぞる。やがて腰を動かし出す。「それでいい。今度は上下に出し入れしてみろ」「私感じます」「俺も感じる」
女がその気になれば性は習わなくとも独自の動きをするのであろう。この時は全身を支配するのかもしれない。「先生、私もう気が狂いそう」「感度がいいからだ」「何の感度ですか」「お母ちゃんにきけ」香川健は直美も俺の女になったと思った。「身体が浮き上がりそう」「浮いてはいけない、重心を低く」直美の子宮は亀頭を包み込む。健が力強く直美を持ち上げる。「先生が私の中にいる」と直美が身体を後ろにねじる。「腰を回してみろ」「もうだめ、頭、空っぽ。ああ死にそう」香川がおもむろに直美の腰を引き寄せ一気に射精した。部下である乙女に対する心遣いかもしれない。

 静かに直美を寝かせたが大きく喘いでいる。下に敷いたバスタオルはうっすらと鮮血に彩られていた。香川はフィルムを装てんして直美を撮影した。今度は香川京子も谷和子もモニカも写真に収めるぞと思った。香川が添い寝をすると直美は胸に顔を埋めてきた。髪の毛を撫でる。直美は寝息を立て始めた。


翌日駒込直美はいつものように出勤していた。帰りが深夜になったので遅れて来てもいいと言っておいたのだがそんな彼女ではなかった。香川は日大芸術学写真学科を訪れた。「このモデルの写真集を作ってもらいたい。謝礼は3万円、旅費実費、日当3000円。名刺代わりにネガを持ってきた焼き増ししてもらえるかな」応対の学生は女子学生に眼で命じた。「モデルは」「うちの職員、女の内面を映して欲しい。出来栄えによってはご祝儀を出す。「わかりました。日時場所は」「次の日曜朝10時軽井沢」「人員は最低3人要りますので日当は3人分お願いします」「わかった」香川は目で見た映像と写真の画像について質問した。山本浩は「難しい質問ですね。写真家の永遠の課題でしょうか」と答えた。
 今回の結果によっては水着写真もお願いするかも知れないと話していると女学生が戻って来た。「よく取れてますよ。これなどは引き延ばしては」「そうだな、これもいいのじゃないか」「そうですね」「仕事貰った。次の日曜朝10時軽井沢。俺たちのほかに照明がいるだろう、手配してくれ」「では引き伸ばしとネガのスライド用をお願いする。これは着手金」

日大を出ると三越本店の屋上に来るよう駒込直美に電話した。彼女は先に来ていた。「水着売り場に」と直美に告げた。赤、白、青のワンピースとビキニを買った。驚く直美。「今度の日曜日軽井沢に行く。これを持って来い」ついでにパーティードレスを買い与えた。
日曜日朝7時に東京出発した。都内は空いていたが軽井沢で少し混んでいた。9時半に別荘に着いたが学生たちは撮影準備をしていた。山本は「僕はカメラマンの山本、こちらメイクの小柴、彼は照明の黒沢。もうじき準備が終わりますので休んでいて下さい」と手短にいった。「私の撮影ですか」「そう普段着と水着」小柴がやってきて「普段着はメイクなしでいきましょうか。ヘアースタイルそのままで行きましょう。水着とワンピースはその時考えましょうか」と直美を見た。さすがにプロの卵である。
管理人がパンと珈琲を用意してくれた。卵焼きとサラダ、ハムが添えられていた。「君たち何時に出たの」「6時です。8時過ぎに着きました」やはり心がけが違う。それぞれの将来の夢を語ったが黒沢の「キリマンジャロ山を撮りたい」に驚かされた。年間で20日しか姿を見せない。「僕は人が撮れないものを撮りたい」「その時は応援するよ」と言ってしまった。数年後黒沢は世界の少数民族を撮影して回ることになる。その資金は香川がパソコン会社から引っ張り出した。

山本が時計を見て立ち上がる。「始めましょうか」「最初は照明なしでどう」「そうだな」と山本はベランダに直美を立たす。「そう湖をみつめて」といいながら数枚シャッターを切る。「フェンスに腰掛けるのは」「いいな」三人はいつもこんな調子でやっているのだろう。「彼女そのまま柱にもたれて。そう今度は両脚上に乗せて。落ちないで」直美が笑った。
ちょっと休憩をとる。水着の打ち合わせだ。「モデルさん水着に着かえて下さい」小柴が言った。「白のワンピースは芝の上がいいのじゃない」「この際全部行こう。時間があったら湖でも撮ろう」「それがいいね」「かのじょ芝が痛いかも知れないが横になってくれる。露出絞るか」黒沢が照度計を見せる。「彼女少しすましてえ、そう顎上げて。上向きなって」
黒沢が照明を入れる。「いい感じだ。モデルさん大の字、両手両足伸ばして、腕開いて閉じて。今度は片膝立てて手を首に当ててみようか」「いい感じよ」「そうかい」6種類の水着に応じて少しメイクと髪型を変える。「お昼の用意ができました」と管理人が知らせてきた。「もう1時か。パーティードレスも行ってしまいたいがモデルさんいいかな」「でも着替えないと」「今乗っている、食事は後にしよう」小柴はパーティードレスの直美をメイクし直した。「スタンバイできる、OK」「よし、モデルさんきれいだなあ。ゆっくり歩いてきて、そこで立ち止まる、少し振り返る。素晴らしいプロのモデルさんみたい」撮影はモデルとの会話が重要なようだ。モデルの意識を変えるのであろう。意識で人も変わると香川は直美を見て思った。

終わったのは2時過ぎだった。遅い昼食をとりながら次の打ち合わせをする。「予定を変更してヌードにしてくれないか。写真は二度と同じものは撮れないだろう。若い娘は自分のきれいな裸像を残したいはずだ」「言えますね。私のヌード先にとって」と小柴が言った。「いいですか」山本が心配そうに尋ねる。「早撮りでいいから」と小柴は自分のメークにかかる。
小柴がベッドに横たわる。「照明右、OK。両脚をそろえて身体をねじる。いいぞ、腰を少し浮かせて、そう反対向きで。左脚まげて右に乗せる。照明少し落として、足首中芯に、いいね。そのまま振り返る。目線を遠くに。少しずつうつ伏せになってゆく、ナイスボディー。両肘で支えて、髪を耳の後ろにして、両手を耳に当てる。動かないで、照明アップ。尻のライン。よしOK」

後日小柴瞳写真集は『美しき裸像の思い出』として人気が出るのだ。若い娘は自分の裸体を撮っておきたいのだが恥かしさが先に立つ。アルバムは秀作だがモデルはお世辞にも美人と言えない。(この人が裸になるのなら。私の方がずっとましだわ)と娘たちは思ったのだろう。その後裸像の注文は断続的にあったから彼らのいい稼ぎとなった。小柴瞳の功績である。

山本は駒込直美に「いこうか」と声をかける。小柴は急いで服を着ると直美を促す。「楽にしてね」直美が裸で横たわる。「モデルさん左の膝立てて。カメラマンは左から撮ってますからね。少し顎引こうか。とても可愛いわ。両手を胸に乗せて、少し照れて見て。いたずらっぽく笑って。本当女優さんみたい」直美の緊張はほぐれてゆく」「何だお前映画監督かよ」「カット、モデルさん右脚を左に乗せてくの字になる、顔上げて挑む目つき。獲物を狙う豹。カメラさん見下ろして」

こうして撮影が終わったのは管理人が夕食の人数を電話で訊いてきた時だ。「僕たち帰りますから。明日の予定をしなくてはならないのです」「残念だわ、ご馳走が食べられると思ったのに。でもいい作品になると思います。できるだけ早くしあげます。いけない、引き伸ばし写真」「車の中だ、取ってくる」山本が走る「モデルさん今日はここまでにしましょう。つづきが撮れたらいいのだけど」
山本が香川の撮った写真を現像焼き増してきたのだ。「これも追加でやってくれるかな、丸秘が入ってる」と3000円握らす。「わかりました。今日のと一緒に届けます」引き伸ばし写真は直美自身が気に入ったようだ。「これは旅費日当の仮払い、作品受け取り時に精算しよう」「うわー、3万円も」「報酬は精算時に」「ありがとうございます、仕事いただいて」「君たちが世界的カメラマン映画監督になったら頼めないだろう。頼めるのは今の内だ」
山本達が帰ったところに夕食が運ばれてきた。「私シャワー浴びてきます」「そうだなお疲れさん」と言ったが香川も一緒に浴びることにした。パジャマに着かえて乾杯した。「私モデルになった感じ」「事務所やめてモデルになるか」「それもいいですね」「辞められると困るが俺の撮ったのもいけるだろう」「いいセンスしてるって小柴さんが言っていました」「そうだろう、そうだろう」

こうして駒込直美写真集は完成したのだが、監督小柴瞳、カメラ山本浩、照明黒沢敏夫となっているのには笑ってしまった。作品は期待以上でご祝儀をつけた。香川京子、谷和子、モニカの写真集を依頼したのは言うまでもないだろう。これに三人とも恥ずかしがりながら大いに満足している様子だ。

女と土地は縁である。求めて得られるものではない。巡り会い結ばれることは前世からの因縁である。世界に二つと同じものはないからである。


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