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作品名:フィリピンに生きる  新フィリピン事情 作者:佐々木 三郎

第9回   両替商
                  両替商

市の付くところ両替商の多いこと。大きな都市では100メートル起きにある。US$と日本円はまず両替できないことはない。為替相場をネットで調べてゆくとたいていの店はほぼ相場どおりの交換レートである。銀行で交換するより率がいい。一万円をペソに替えると4800から5300。円高のとき百万ほどペソに換えておくと円安のときとでは5万ペソ差があると考えるのは止めたほうがいい。強盗に襲われ下手すると命まで失うことになりかねない。店、タクシー、強盗のネットプレーはプロ野球並み。共犯を立証することは不可能に近い。現金の持ち歩きはは5万円が上限。
 さて、相場から両替商の手数料は幾らかと計算してみる。ネットで1ペソ=2.06円のとき、1万円は4854ペソと思いきや4750、粗利104。1P=1.93のとき1万円は5180ではなく4900、粗利280。率にして2.1ないし6.1%ぐらいか?平均5%としても両替とはボロイ商売だ。それでも銀行より遥かに率がいいのだが。ジャパ行きの送金額は400億とか。日本企業の駐在員給料などを考えると1000億は軽く超える。円ペソだけで50億。おいしいと思われる。両替商の元締めはどんな人物か。為替差益、FXなどでさらにボロイ儲けをしているのだ。ユダヤ商法、ロスチャイルドの手口を感じるであろう。
        
 円、ペソ、ドルは生活に直結しているので毎日為替相場をチェックしている。円高は海外ではありがたい。つい4,5年前、1ペ円だったが、今は1.86円である。100万円は20万ペソだったのが約54万ペソの勘定。アパート暮らしなら月5万ペソでやっていける。支店長がとんできて定期預金を勧誘する。

 難点はどこも順番待ちの列、ゆっくり金を数えることができない。まあ両替は10万円が上限と考えておいたほうが身の安全。良心的といわれる店に決めておくと毎度ありがとうさんとなる。店によっては交換レートを表示してないところもあって日本人はペソを高く買わされることも、お札の数を誤魔化されることも。10万円をペソと両替するとここは万札がないので1000ペ(枚となる。当たり前だが、500ぺそだと100枚だ。数えるのが一苦労。ついでに1000ペソを10枚ほど細かくしておいたほうがいい。100ペソ20枚、50ペ枚、20ペ(枚といった感じ。
*小さな店では釣りがないと断られることがある。両替商の店内でカバンに札束を仕舞えるところは少ないので50万円は1000ペァ枚、数えるのはもう大変。これ以上は銀行振出の小切手か送金かが無難、ただし手数料がいる。面倒でもATMで小出しする。日本の5倍は時間がかかるのだが。

 銀行窓口ではこの計算ができない。電卓を何度もたたいている。15分待たされた挙句ににIDをみせろときた。何故IDを求める、俺の口座からの引き出しだぞ。すみません、新人なもんで。計算できないのか、日本の子供でも暗算できるぞ。ガードマンがとんでくる。周りはいい気味と見ているだけ、この娘日頃から生意気なのだろう。銀行ではこんな調子、下手すると手数料を取られる。かつてのブラックマーケットの、今は公認されている両替商の方がしっかりしている。

 99%の両替商は2坪ほどの店。鉄格子で内部とは遮断されている。順番待ちの行列が続くので金額を確認しづらい。海外からの送金は国家収入の10%とか。出稼ぎの国別では米国、サウジアラビア、マレーシア、カナダ、日本(30万人3.9%)の順だが、送金額では米国サウジ日本(4億ドル5.4%)となるそうだ。日本は美味しい国だ、ジャパユキしたい。もっともだ。

 これらの海外からの送金と外国人が持ち込む外貨を両替商の元締(上層階級)が為替相場によって莫大な利益を手にしている。ここでは世のため人のためと私財を投げ出すなどの話は聞かない。金は多ければ多いほど良いという哲学。庶民からは搾れるだけ搾る。庶民は文句は言わない。何故?何故って、どうにもならない。植民地政策で諦めるように洗脳されてしまったか。こんな不甲斐無いフィリピン人にどうして日本人は騙され、集られるのか。金持ちは身なりはいいが品性が無い。
銀行員も右に倣えして客の外貨を運用して小遣い稼ぎをしているようだ。普通預金でも20万ペソ以上を引き出すには前もって連絡しておかないと金がないと平気で言う。資金ショートか。イエス。ここは銀行か。イエス。恥ずかしくないか。答えなし。

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