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作品名:フィリピンに生きる  新フィリピン事情 作者:佐々木 三郎

第4回   4
いい娘を紹介する

 ホテルに帰るとフロントで呼び止められる。日本のママから伝言で電話してくれいうこと。携帯のテストと思ってかけてみる。『クーヤいい娘を紹介するから会うだけ会ってみて。ホテルに行かせるから気に入らなければ帰していいからタクシー代300ペソやってね』『コンドーテルに引っ越すから』『そう、荷物運ばせたらいい、今下にいる』手回しのいいこと。やがて色の黒いレスラーみたいのがやってきた。とても抱く気はしない。何がいい娘だ。ママに都合のいい娘か。コンドーテルはビジネスホテルみたいなものだ。ホテルの3割ぐらいの値段。荷物の運び賃300ペソやるとレスラーは喜んで帰っていった。

 300ペソ日本円で600円は日本料理店の、建設現場労働者の日給。スーツケースを運ぶだけで300ペソは高給取りである。ママが半分刎ねるいい仕事である。この国の労働分配率は驚くほど低い。因みに、セクシーレディー高級娼婦の手取りは30%以下らしい。派遣業者、ホテルがそれぞれ30%強をとるそうだ。オーナーの取り分は半分ときく。椰子ココナツは土地所有者が売り上げの半分、栽培者が半分という具合だ。不労収入に見えるのだが、人口の10%の富裕層が国全体の富の90%を保有する国である。90%の貧困層が10%を保有することになるから貧富格差は810倍になるのだろうか。〔いい娘とは紹介者にとって都合のいい娘なのだ。

街を歩くとナイスバディーのフィリピン娘に出会う。声をかけたくなったら、どんな家庭の娘か考えてみれば答えはすぐでる。ジーンズかショートパンツにだまされるな、たいてい電気も水道もないあばら家に住んでいる。日本人の中年以上のオジサンに寄ってくるのは金以外に何がある。愛情があるはずがない。UP University of Phlippineの学生は知的に見える。かれらの将来は約束されているそうだ。マイカー通学、運転手の送り迎えの女子大生がうだつの上がらぬオジサンと愛を語るはずがない。玉石混合の中から自分にふさわしい玉を見つけるには自分の眼しかない。見る眼ができるまでは手を出すな!真面目に働いている娘は金をせびらない。食事でも買い物でもきちんと礼を言う。若い娘が一人でタクシーに乗っていたらパロパロ(娼婦)と見ていい。

  借りる、預かるは貰うこと 

 ここで貸したものは返って来ると思うのは日本人だけだ、返って来たら祝杯ものと在住日本人。借りる、預かるは貰うこと。こころは。いずれも返さない。政府の物件が競売にかかった。多くの外国が参加、日本は最安値。担当者は日本企業にフィリピン政府としては日本に買って貰いたいのでもう少し高値をつけてもらえないかと裏で持ちかけた。どうして?日本企業リベート払わないが代金は必ず払ってくれる。ほかの国は?お答えできません(逆もまた真なり)。

 国際社会で日本人が馬鹿にされるのは人を安易に信用するからだ。十分な担保も取らずに貸す、売るなど商道徳からすると悪である。銀行とか商社に勤めていれば背任である。pacta sunt servanda 契約は履行されねばならないという法格言は契約がいかに履行されないかを物語っている。

かの寓話、丸木橋でヤギが押し合い双方川に落ちる、ジャックは豆の木を登ってゆき雲の中から巨人の財宝を奪ってくる、をいかに理解するか。欧米の学校ででは、相手を突き落とせるよう日頃から鍛えておきなさい、富は奪い取るものと教える。海賊の国、帝国主義の国だったからではない、21世紀の今日の話なのだ。世界の主流的考えなのだ。文部省は知っているはずだが、教育的観点からはどうも、それに外務省の管轄でしょうね、と逃げるだろうか。己のこころ(良心、常識)の命ずるままに行動する日本人は類まれなる民族と思われる。不可侵条約、北方返還など履行されるものか、強制力、圧力が必要なのだ。戦争とか武力で脅すのは品がないがさすが日本と言われるような方法はないものか。

次回 日本人はカモだ 


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