『火龍隊吶喊します!』 安東は部下の報告を聞きながら目の前に立ちはだかった新型のアサルト・モジュールを袈裟懸けにした。 『おかしい……忠さん。あんたは何を考えているんだ……』 部下に聞かれまいと静かに目をつぶり考える安東。だが答えは出てこなかった。 『敵駆逐艦の存在を確認!』 「雑魚にはかまうな!『播磨』を沈めれば終わる!」 上下左右で繰り広げられる死闘。その向こうにはわずかに巨艦の腹を晒している第三艦隊旗艦『播磨』の姿があるはずだった。 『このままだと沈むぞ』 再び命知らずの教導部隊の機体が勝負を挑むが軽くいなして安東は引いた。 『安東大佐!』 突然の羽州艦隊司令の秋田義貞の顔に驚いたように目を剥いた。 「何で直接通信をしてきた!」 『中央艦隊が引き始めました!清原隊に乱れがあるようです!』 この言葉に安東は寒気のようなものが背筋を走るのを感じた。 「乱れ?原因は分からないのか?」 『何でも望遠距離での狙撃を受けて次々と艦が沈められているとか……』 その時点で安東は気づいた。 「新三か……」 静かにそう言うと安東は頭の後ろに下げていたヘルメットを被りなおした。
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