『隊長!ムカデが!』 「見えとるわい!」 部下の叫びに明石は眉をひそめた。 『この距離で狙撃?いや、こちらの様子を見ているわけやなあ』 明石はそう言うとすぐにパルスエンジンと同時に推進剤に点火して一気に加速をかける。 「相対速度を落としたらあかんで!棒立ち厳禁や!」 『了解!』 訓練の時と同じく明石を真似て二人の部下の機体は加速を始めた。 『タコ!抜け駆けか!』 魚住の苦虫を噛み潰した表情に得意げに笑みを浮かべる明石。先頭を切る別所隊までの距離が一気に詰まる。 「各員このまま展開!止まったら喰われるで!」 明石はすぐに別所を追い抜くとその上方に動いた。 『明石、相手はあの安東大佐だ』 「なんや、別所の旦那ともあろうものが臆病風かいな……!」 軽口を叩こうとしたと単に目の前をレールガンの望遠射撃が掠めて明石の笑みが凍った。 『いきがるのは戦場に到達してからにすべきだな』 黒田の言葉にモニターの中で魚住が大きく頷く。 「まあ見たってくれや。ワシが伊達に一度死んだ人間やと思い知らしたるさかい」 そう叫ぶと覚悟を決めたと言うように明石はパルスエンジンを限界出力へとあげた。
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