「信管が……っと抜けました」 島田は額の汗を拭い後ろで作業を見つめていたランに笑顔を向けた。ゆっくりと対人地雷の信管を取り上げて後ろのランに見せる。 「茜、上はどうなってる?」 ランは目をつぶり精神を集中して周囲の思念を感じ取り敵の動静を探っていた茜に声をかけた。 「四人……まだ増えそうですわ。でもかなり焦っているみたい……おそらくシュバーキナ隊の降下作戦が始まったんではないかしら」 「じゃあこっちもオタオタしてられねーな」 ランはそう言うと背負っていたライフルのストックを伸ばして肩につける。ブービートラップが仕掛けられていた合同庁舎の地下に出るケーブルの検査用通路の扉にゆっくりと手を伸ばすラン。 「アタシの合図で突入だ……って島田?」 幼く見える彼女が見つめた先では慌ててシャムが愛用するショットガンを慣れない感じで構えている島田がいた。 「おい、大丈夫か?小便したいとか抜かしたらぶん殴るからな!それと銀色のマガジンの中の弾が対法術師のシルバーチップだ。間違えるなよ」 ランに言われて島田は慌てて自分の銃のマガジンを見た。そしてそれがいつもの黒い色だと確認すると大きくため息をついた。 「正人、慣れないなら下がっていても……」 サラにまで言われて目を見開く島田だが、背中をランに三回叩かれてようやく我に返ったように銃の安全装置を解除した。 「そうだ、それで良い。オメーがポイントマンだ。とりあえずここを出たらバックショットを乱射して弾幕を張れ」 「バックショット?」 不思議そうな顔でランを見つめてくる島田に呆れたようにサラが耳元に囁く。 「それ、マガジンに赤いテープが張ってあるでしょ。それは中の弾が散弾で……」 「分かってるよ!」 そう叫ぶと島田は合同庁舎の地下駐車場に続くドアに張り付く。そのまま続いて突入するつもりのランが島田の背中を触った。 「アタシから離れるなよ。茜、頼むぞ」 ランの言葉と共に茜が腰の刀、伊勢村正を抜いた。 「囮は得意なんですの」 ニヤリと笑った茜が正面に銀色の干渉空間を展開してそこに飛び込む。同時にランは島田の背中を思い切り叩いた。 「うぉー!」 飛び出した島田、目の前にいた三人の厚生局の武装局員が驚いて島田に目を向けるが、島田の散弾の乱射で手前の兵士がボディーアーマーに直撃を食らって吹き飛ばされる。上へと続く階段に立っていた兵士の後ろには転移した茜が立ち、素早くその肩に峰打ちでの一撃を与えた。 「ラーナ!サラ!」 残りの兵士の腹部に二発ずつ7.62mm弾を叩き込んだランが開いた扉の中にいる二人に進撃のハンドサインを出した。 「こちら地下突入隊!侵入に成功!これから探索に移ります!」 ラーナは走りながら腕にくくりつけられている通信機でカウラに向けて叫んだ。
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