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作品名:クォンタムマインドセオリー さまよう絆 作者:イサム

第3回   シーン3 殺傷事件発生
@コンサートホール
オペラを観劇する佐原昭吉、佐原彰、彰の妻里可子、彰の娘優里
優里の祖父昭吉以外は皆、退屈している様子
A佐原彰宅(夜)
無人の邸宅
邸宅母屋に隣接したガレージの一枚扉があがっていく
闇にまぎれて配電盤を細工する小森友也
ガレージの傍で身を潜める唐津誠と日垣健介
ガレージの扉が開き、リビングに通じる勝手口の硬質なドアノブが見える
Bコンサートホール
拍手の波が静まるとともに、舞台の幕がおりきる
席を立つ者、着席したままの者、まばらな観客席。幕間である
ロビーに流れ、休憩をとる観客たち
ロビーで帰り支度をする彰、里可子、優里
和田からリボンのついた紙包みを受け取り、優里に渡す昭吉
満面の笑みで昭吉に礼を言う優里
中座することを昭吉に詫びる彰、里可子
ひとり客席に戻ってオペラ歌手に拍手を送る昭吉
C佐原彰宅
書斎の壁面に印象派の絵画
絵画の額縁が蝶番で開き、壁面埋め込み式の金庫が、唐津の懐中電灯によって照らしだされる
D高速道路(夜)
運転する彰
後部座席でプレゼントを開く優里
バレエのトゥシューズである
喜ぶ優里と里可子
E佐原彰宅
ヘッドライトが一瞬、屋敷の壁面に大きく反射する
書斎の金庫の扉は開いている
その金庫の下で、金塊をナップサックに詰めていた唐津が腕時計を見る
日垣がカーテン越しに外の様子を窺う
唐津   ハンガーか
車中の優里が、カーテンが揺れたことに気づく
日垣   違う、家の奴らだ
車をガレージに入れた彰
彰    車の中で待っていなさい
ガレージの戸棚を開く彰
戸棚には猟銃が四丁、並んでいる
Fコンサートホール
オペラ歌手の熱唱に喝采を送る昭吉
Gコインパーキング
カーラジオからアナウンサーの声
ラジオ  ”‥‥時刻はまもなく八時三十分です。続いてのリクエストは、あの鐘を鳴らすのはあなた‥‥”
イントロが流れ出す
腕時計の文字盤を見る小森友也
文字盤は八時三十分を示す
ラジオを切る友也
おもむろに暗がりのコインパーキングから動きだす黒塗りの乗用車
H佐原彰宅リビング(闇)
照明の消えたリビングルーム
暗闇の中を猟銃の銃先が動く
カーテンの影に日垣の足
日垣の顔に汗
銃口を向ける彰
彰   誰だ。出て来い!
リビングの反対側、勝手口付近で物音
里可子 (不安げに)あなた‥‥
振り向いた彰に背後から日垣が襲いかかる
もみ合う彰と日垣
猟銃が暴発する
勝手口ドア付近で人が倒れる音
猟銃は日垣が奪いとる
彰   里可子。里可子‥‥
倒れた里可子に駆け寄る彰
里可子を抱きあげようとしただけで彰の両手が血まみれ
彰   救急車。救急車を呼んでくれ。里可子
彰の耳に「パパ‥」と呼ぶ娘の声が聞こえる
彰が顔をあげるとそこに娘の優里が立っている
両手を後ろで縛られ、優里の顔にはビニール袋が被せられている
優里の背後に立つ黒い影は唐津
I佐原彰宅正面車寄せ
友也の運転する乗用車が停まる
屋敷内から銃声
車を降りてそろりと窓から室内を覗く友也
目を凝らして見ると、血まみれの床に女性がふたり、折り重なって倒れているのが見える
ソファの真ん中には、目を見開いて天井を見上げたままの彰が座している
肩に黒いナップサックを担いで屋敷ガレージから出てくる唐津と日垣
唐津は片手に猟銃を持っている
唐津  ハンガー。行くぞ
友也  殺したのか? なんで?
日垣  いいから、早く車に乗れ


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