第28回 　 シーン３１　復讐唐津

�@摩耶市役所 市民相談課 左腕を三角巾で吊った唐津が登庁する 女子職員が唐津に花束を渡す 上司が唐津にねぎらいの言葉をかける �A佐原昭吉宅 和田　　よくご覧ください。これが、千晶さまが佐原千晶として養子縁組したときの書類と戸籍謄本です 千晶　　そんなもの、いくらでもパソコンで作れるわ 和田　　なら、存分にお調べください 千晶　　そうする 部屋に戻る千晶 和田　　困りましたね、会長 昭吉　　ああ、最近、青山千晶がよく顔を出す。天根博士に相談してみよう 千晶　　出かけるから 昭吉　　和田、ついていってやってくれ 和田　　はい �B警察病院 友也の病室 目を閉じたまま微動だにしない友也 ベッドの横で首をうなだれている遠藤 友也の指にそっと手を触れ、病室から出て行く遠藤 �C摩耶市役所 千晶を乗せて和田が運転する車が市役所前に停まる 千晶　　（和田に）あんたはここで待ってて 市民相談課に出向く千晶 千晶　　あたし青山千晶っていいます。佐原昭吉という人の養女になったと聞かされているんだけど、本当かどうか調べてもらえます？ 職員　　はぁ、しばらくお待ちください ロビーのソファに腰かける千晶 千晶を訝しげに眺める職員たち 　　周りの職員も集まる 千晶　　ああ、お腹すいた（腹を押さえる） 目を閉じる千晶 驚いたように目を見開く千晶 カウンターの向こうにいる男に目が留まる カウンター内にいた唐津が、『佐原昭吉　養女』とメモした紙を手に千晶を見つめる 唐津　　私が応対しよう 職員に言い残し、千晶に近づく唐津 薄暗い屋敷のガラスに反射した唐津の顔が千晶の脳裏をかすめる あとずさりする千晶の腕をとってカウンターから死角になる場所へ連れていく唐津 千晶の目から恐怖に色が消えない 唐津　　僕をご存知なのですか？ 首を激しく振る千晶 唐津　　あなた、優里さんですよね。佐原優里さん 首を振る千晶 唐津　　整形でもしたのかなぁ？ 千晶　　違います。あたしは‥‥ 唐津　　僕が逮捕されたら証言しようと、いまは別人になりすましている ぎくっとする唐津 唐津の後頭部に拳銃が突きつけられている 鈴木　　モンド、無駄話は終わりだ �D市役所屋上 室外機の上に怯えながら立つ唐津 唐津は三角巾で目隠しをされている 乾いた銃声音とともに唐津の身体が宙に舞う