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作品名:クォンタムマインドセオリー さまよう絆 作者:イサム

第27回   シーン30 トランシングレポート
@警察病院
友也の病室
遠藤は厚い冊子を持っている
遠藤  トモ、おかしな若者に会ったよ。人が人に憑依するみたいな話を真剣にするんだ。資料をもらった。“人格転移現象の調査と検証に関する報告書”通称トランシングレポートというらしい。ちょっと目を通したが、暇潰しにちょうどいい。トモ、聴こえていたら返事してくれ
友也がゆっくり左手親指を上下させる
遠藤  トモ、いま指を動かしたか? 僕の声が聴こえているのか? 聴こえているならもう一度指を動かてくれ
友也が親指を立てる
遠藤  すごい、トモ。聴こえるのか
先生、先生と呼びながら、部屋を飛び出す遠藤
遠藤とほぼ入れ違いに病室前に現れる鈴木と警官A
鈴木が病室の前でヒマを持て余している老刑事に言う
鈴木  どうです、小森友也の様子は?
老刑事 変化なし。あっ、遠藤監査官が見舞いにきとる。いま、先生を呼びに出ていったが
鈴木  そうですか。ご苦労様です。少し休んでください
警官Aが老刑事に敬礼する
老刑事 サンキュ。ちょっと一服してくるわ
老刑事を見送る鈴木
鈴木  小森の様子を確認してくる
警官Aを入口に立たせて、ひとりで友也の病室に入る鈴木
ベッドを囲むカーテンを開けると、友也の親指が電極コードにからんでいる
閉じていた友也の目が開く
カーテンの内側に、一瞬青白い閃光が走る
蒼ざめた表情で、やや口を半開きにして病室を出る鈴木
警官A 鈴木先輩、鈴木刑事
警官Aが呼び止めるが、廊下をふらふらと歩き続ける鈴木
福住女医を伴って病室に戻ってくる遠藤
警官Aの耳に病室からの遠藤の声が聞こえる
遠藤  トモ、指を動かしてくれ。トモ、トモ。先生、さっきは僕の呼びかけに、親指を、親指を動かして返事をしたんです。トモ、トモ‥‥


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