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作品名:クォンタムマインドセオリー さまよう絆 作者:イサム

第23回   シーン24 馬場逮捕
@摩耶市役所
市民相談課
窓口の担当者に小声で伝える馬場
馬場  あの、モンドいるかって、大声で叫んでもらえませんか
職員  (戸惑いながら)えっ? モンドさん?
らちがあかないので叫ぶ馬場
馬場  モンド、モンドはいるか!
立って事務作業していた唐津が一瞬、振り向く
馬場と視線が合った唐津はすぐに背中を向ける
馬場  おい、そこの男。こっちを向け
馬場が拳銃を振り向けたので、一斉にしゃがみこむ職員
硬直した唐津が振り向く
馬場  モンドだな
唐津  いえ、私は唐津誠。相談課の係長をしています。人違いだと思います
銃を構えたまま、唐津を引きずり出す馬場
唐津  何なのですか、私が何をしたというのですか
A市役所屋上
抵抗する唐津を、非常階段から屋上に連れ出す馬場
唐津  誰だ、あんた。何者だ
馬場  九年前の洗濯屋だよ
唐津  洗濯屋? ハンガー?
馬場  モンド、俺はただ、死んだおふくろの墓を、ちゃんと作りたかった。俺をひとりで育ててくれたおふくろのな。たったそれだけのちっぽけな願いを、モンド、あんたはは踏みにじったんだ
唐津  お前、ハンガーの連れか? そうだろ? 何があったか知らないが、ハンガーはもう生きて病院から出られない。お前にハンガーの取り分をやろう。どうだ?
馬場  うるさい! 口を開くな! 手は頭の上。真っ直ぐ歩け。登れ
唐津を防護柵際の室外機の上に立たせる馬場
屋上のドアが開く
湊   よせ、馬場!
港と鈴木が拳銃を馬場に向ける
湊を一瞥してすぐに唐津に向き直り銃を構え直す馬場
銃声が二発轟く
凍りつく唐津の表情
  馬場が銃を構えたまま崩れ落ちる
捜査員数名が続いて屋上にやってくる
馬場に駆け寄る湊 
鈴木  救急車!
  唐津の身柄を確保する捜査員たち
湊   馬場。しっかりしろ。急所は外れている
馬場  ‥‥湊さん‥‥
湊   どうして、こんなことを? 動機はなんだ?
馬場  あいつが‥、あいつが‥‥
湊   あいつが、どうした?
口から血を吐き、気絶する馬場
B警察病院
救急車が停まり、馬場を乗せたストレッチャーが救急車からおろされる
C摩耶市役所
市民相談課のあるフロア
フロア全体が警官によって閉鎖されている
ロビーのチェアで、唐津から話を聞く湊と鈴木
   唐津の隣には、唐津の上司が同席している
唐津  何が何だか、さっぱりわかりません
上司  警官が市民に、しかも市役所の職員に訳もなく暴力を振るうとは、言語道断だ。厳重に抗議する
湊が鈴木に目配せする
鈴木  すみません。ちょっとこちらへ
上司に離席を促す鈴木
  ふたりになる湊と唐津
湊   モンドと呼ばれたそうですが、何か心当たりは?
唐津  いいえ、まったく。モンドなんて聞いたこともありません
湊   失礼ですが、十月七日午後七時から九時ごろはどちらにおいでしたか
唐津  十月七日ですか。(手帳を見て)その日は十時ごろまで役所で残業でした。磁気カードで記録が残るので、調べていただいたら判ると思いますよ、刑事さん
笑みを浮かべる唐津
笑みを返す湊
D警察病院
馬場を乗せたストレッチャーが廊下を走る 
看護師 血圧低下40、35
処置室で乾燥した上皮を剥がされている友也。目は閉じられている
エレベーターが開き、馬場を運ぶストレッチャーが処置室の前を通り過ぎる
処置室の友也の目が大きく開く。上体が首と肩を起点に小さく弾む
手術室に運びこまれる馬場


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