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作品名:クォンタムマインドセオリー さまよう絆 作者:イサム

第21回   シーン21 揺れる胸中 シーン22 慟哭の谷
佐原昭吉宅
洗面台の鏡で優里の衣類を着てみる千晶
優里より体つきの大きい千晶は、優里の服がほとんど着られない
ゴミ箱いっぱいに捨てられた衣類
おなか周りや二の腕を触って溜息をつく千晶
和田   先方と二億5千万で折り合いました
昭吉  そうか、予想の範囲だな。いや、ご苦労様
『優里』と呼ばれる声を聞いて、明るい表情を作り居間に現れる千晶
千晶  何? おじい様
昭吉  優里。学校の件だけどな、どうだ新しい学校は? 馴染めそうかな?
千晶  ん‥
昭吉  まだ迷っているのか。友だちと離れ離れになるのが辛いのはわかるが、優里、本当のことを隠して付き合うのは、もっと辛いぞ。おじいちゃんは、新しい学校で新しいお友だちをつくったほうが楽しいと思うがな
千晶  ‥ん、わかった。おじい様がそのほうがいいとおっしゃるなら、優里それでいいよ
昭吉  そうか、わかってくれるか。(和田を呼ぶ)

裏六甲事故現場
一台のパトカーが現場崖上に到着する 
馬場が車から降りて崖下に向かう
現場はまだ散乱した破片や、焼けた草木が残っている
小川に沿って歩くが、位牌はない
足元の硬いものがあたる
  見ると白い陶器の底が地面から突き出ている。骨壷である
馬場が拾いあげるが、陶器は欠片でしかなかった
周辺を探すも、遺骨遺灰らしきものはない
陶器の欠片を胸の前で握りしめる馬場 嗚咽に似た叫び声が谷に木霊する


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