@六甲山系渓谷、崖上 急峻な崖の上に車が停まる 友也を助手席から運転席に座らせる日垣 両手両足を縛られている友也、失神から気がつく 別の車で後をついてきた唐津が友也に言う 唐津 盗みと殺しの証拠はトランクに積んである。車内のポリタンクのガソリンは逃走用に蓄えたもの。警察の手が迫ってきた犯人が、真夜中に逃走を図ったものの、運転を誤って谷底に転落したという設定だ。ガソリンに引火するよう仕掛けもしてある。だから迷わず成仏してくれ 友也 (猿ぐつわを噛んで)どうして信じてくれない。、ふたりとも、仲間だと思っていたのに! 日垣 仲間だと。笑わせるな 唐津 仲間を売るようなマネをする奴は仲間じゃない 日垣 それに俺たちは、簡単には捕まらないよ。俺たちにはまっとうな仕事があるからな 友也 まっとうな仕事? 日垣 冥土の土産に教えてやろう。モンドは市民に奉仕する仕事。俺は、ほらあれ、松田優作が一番似合っている‥‥ 唐津 ツジヤマ!(一喝する) 日垣 無駄話は終わりだ。じゃ、あばよ 車を後ろから押す日垣と唐津 のりを越え、車は頭から崖をすべり落ち、途中から横回転しながら谷底の転落する。タイヤハウスから火の手があがり、やがて大きな爆発音とともに火柱があがる A六甲山系渓谷、崖下(明け方) 崖の上の道路に警察の車列 大破した車の周辺にはまだ小さな炎と煙がくすぶっている 数人の警官、刑事が煤と血にまみれて倒れている小森を取り囲んでいる その他多数の警官、鑑識員が現場周辺で遺留品の捜索にあたる 警官C ありました。ウィンチェスター社の猟銃です 鈴木 よし!(小さくガッツポーズ。無線のマイクを手にする)本部、応答願います。凶器の猟銃が見つかりました。あと盗品と思われる貴金属が少し。強殺の犯人に間違いありません 遅れて崖下に降りてくる湊 救急ヘリで吊りあげられる友也を見ながら悲痛な表情になる湊 B兵庫県警本部 局長室 捜査本部と鈴木の警察無線を傍受している永井本部長 廊下を慌しく捜査員たちが動く 奈須 それで、鈴木。車に乗っていたのは確かに小森なのか 鈴木 確かだと思われます 奈須 身元を確認するものはあったか 鈴木 いいえ、まだ 奈須 焼死体だろ。偽装工作の可能性だってある。さしあたり、小森だと証明できるものを探せ 同フロア廊下 トイレの洗面所で顔を洗って廊下に出てくる遠藤 廊下に響く奈須の声に思わず立ち止まる遠藤 鈴木 係長、焼死体ではありません。生きています。いましがた、救急ヘリに収容されました 奈須 生きている? 小森友也はまだ息があるのか! 鈴木 はい、そのようです。搬送先に向かいます 一課のドアを開ける遠藤 永井 遠藤さん(何か?という顔) 遠藤 本部長、その無線は? 永井 えっ? ああ、裏六甲の事故現場ですが、何か?
|
|