@車内 六甲山系を縦断する山間道路を走りながら、助手席に置いた荷物に話しかける友也 友也 母ちゃん、永い間、窮屈だったろう。もうすぐ金入る。そしたら、大きな墓、建ててあげるからね リュックサックの口からのぞく骨壷と遺影 A裏六甲 閉鎖したレストランの駐車場(深夜) 車のヘッドライトが、廃屋になった建物とその横に停まっている車の影を映し出す ジャリジャリと音をたてて車が停まる 廃屋横から車がスルリと動き出し、友也の乗ってきた車の横に停まる 日垣が降りてくる 日垣 つけられなかったろうな、ハンガー 頷く友也 友也 分け前をもらいにきた 唐津 (廃屋の物陰から現れる)その前にハンガー、チーム仕事人は今夜で解散する 友也 そ、そりゃそうだろ。警察やマスコミが、がんがん騒いでいる。もうできない、だろ 日垣 俺とモンドは、またやる。けどハンガー、お前はもうできない 友也 俺だけ、もうできない? どういう意味だ? 日垣 相変わらず鈍い奴だな。(友也の肩に腕をまわし)知ってんだよ、お前の素性 友也 別に、本名や仕事場があんたたちに知れたって、どうってことはない 唐津 問題なのはお前の兄貴だ 友也 兄貴? 兄貴がどうした? 兄貴とはもう十年以上会ってない 日垣 お前の兄貴、サツなんだって? 一瞬驚きの表情の友也 唐津 どうして黙っていた? そんな大事なこと 友也 だから、兄貴とは子供の頃に別れて以来、今まで一度も会ってない。兄貴がどこで何をしていようと、俺には関係ない 日垣 遠藤博之36歳。警察庁で内部監査を担当。現在兵庫県警に出向中。名字が違うから、気がつかなかったよ 友也 なんで、なんでそんなこと? 唐津 お前には前科がある。捜査の手がお前に伸びることは想定済みだ。お前が捕まったとしても、俺たちの素性がばれる心配は、まずない。けどサツの兄貴がいたとなると、話は別だ。尻尾をつかまれかねない。だからこういう結論に達した 日垣 ハンガー、いや小森友也。お前には死んでもらう 友也 待てよ。ふたりとも、待ってくれよ 唐津 すまんな。そういうことだ。殺しの罪も被ってもらう 日垣にスパナで後頭部を殴られる友也
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