第13回 　 シーン１３ 友也逃走

�@友也のアパート（夜） 物陰に停めた車から監視する湊と鈴木 鈴木　　今夜も空振りですかねぇ 白帽に白衣を着た中華料理の出前がアパートに入る。一室のドアを開け、閉める 鈴木　　小森の部屋です。出前を頼んだようですね 湊　　　‥‥ 出前が自転車で帰っていくのを見届ける湊 湊　　　ちょっと電話 車を降りる湊　携帯を開く �A兵庫県警本部 副次長室で書類の整理をしてカバンに詰めこむ遠藤の携帯が鳴る 湊　　　遠藤さん、先日、友也くんと話をしてきました 遠藤　　友也と？　でどこにいるのですか、友也は？ 湊　　　それは、訳あって、いまは言えません。もう少し待ってください 遠藤　　言えないって、どういう意味なんですか？ 湊　　　あとで、もう一度お電話します �B友也のアパート しばらく姿を消していた湊がコンビニ袋を携えて戻ってくる 湊　　　何か動きはあったか 鈴木　　いえ、また中華の出前がひとり帰っていきました 湊　　　出前の多い夜だな。鈴木、出前が入っていくのは見たか 鈴木　　あっ！ 湊　　　バカ！ 車を飛び出し、アパートの階段を駆けあがる湊と鈴木 鈴木　　小森さん、小森さん 小森友也の部屋の戸口をノックするが返事がない ノブを廻し、灯りの点いた部屋を見渡す鈴木と湊 手をつけてないギョーザとラーメンが卓袱台に放置してある 土足のまま、トイレと押入れを開け放つ鈴木 押入れはからっぽ。誰もいない室内にがっくりする鈴木 �C公園（深夜） 自転車を乗り捨て、リュックを担ぎ、出前の着衣をゴミ入れに脱ぎ捨てる友也 サイレンを鳴らし幹線道路を疾走する覆面パトカー 無線の声　緊急配備、緊急配備。宝石商一家殺傷事件の被疑者、小森友也が自宅から逃走 �D兵庫県警副次長室 カバンを机の上に置いたまま携帯電話が鳴るのを待つ遠藤 眉間を指で揉む