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作品名:旅する写真家 作者:うすしお

第5回   5
ホテルのトビラは古く歴史を感じさせるが、意外と立派で、そして重い
                                
グッと力を入れて開けると、まず壁の一辺に一つのドアが見える      
                                  
入る前は二階建てのようだったが、一階しかないようだ

見渡してもドアは一つしかない
                                    
                                 
「ようやく来たか。予定より遅かったな」
                                    
                                  
不意に声が聞こえて、俺の体がビクリ、と反応した
                            
俺がキョロキョロと辺りを見渡していると             
                            
                                
「随分と失礼なやつだな、貴様は。ここだ。ここ」         
                                
またも声が聞こえて分かる                    
                             
声の持ち主は俺の斜め下にたのだ                 
                            
「全く、せっかくこの私があれこれしてやろうと思っていたのに。貴様というやつは」
                             
白いワンピースを着た幼い声の幼い少女は不機嫌そうに、長く垂らした茶色い髪
をいじっている                         
                                
(子供? 変な話し方だな)
                                  
「何か言ったか?」                       
                                  
俺の心を読んだかのように、幼い少女が大きな目を細めて言った
         
「お嬢ちゃん。一人かい?」

ここは大人の対応をしなければな

「お嬢ちゃん? 言葉に気をつけろ」

俺の片方の眉毛が無意識にピクッと動いた
黙っていれば天使にすら見えるが、小生意気な子供だ
                             
「まぁいい。一応確認するが、アレックス・クローチェだな?」



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