《神》、って何?
《希望》、って何?
《奇跡》、って何‥‥‥。
私は、一体、何のためにここに、いるのだろう‥‥‥。 ふと、ある記憶が出てきた。
赤い花。緑の草木。綺麗な水。美しい風景。 ここは、両親といつも来る森だ。 太陽の日差しが暑くて水の中に勢いよく入ったら、溺れそうになったり、見たこともない虫を誤って触って刺されたり、森で迷子になったりもした、なつかしい場所。 そんな幸せな日々を両親と過ごしていた。 だけど、私のせいで家族は荒れた。 両親は、死んだ。
この日は、特別な日だった。 父の誕生日であり、城の王様が新しくなったから。 私は、毎年と同じく父に誕生日プレゼントを買おうとした。母から貰ったお小遣いを持って出かけた。家の扉を開けた瞬間、悪夢が襲いかかってきた。 目の前にあった道路には大勢の兵士がいた。私は誤って誰かにぶつかってしまった。 私は謝り、駆け出した。父のプレゼントのために。 その夜。誰かが戸をたたいた。次の瞬間、家には今朝見た兵士たちが入り込んできた。 「この娘を無礼な者という王の命令より始末する!」 そのときの私は、意味が分からなかった。 「来い!」 私は、腕を引っ張られた。そのとき。 「やめてください!この子が何をしたというんですか!」 母は、止めようとした。 「そうです!我が子がそんなことをするような子ではない!」 私は腕を放されえ、母の元に駆け寄った。 「ふん。そんなに言うなら、お前たち一家を始末する!」 こうして、私たちは死刑といわれた。
兵士達が準備をしている間に母と父は私に言った。 「あなただけでも逃げなさい。」 「嫌だよ!お母さんとお父さんをおいて行きたくない!」 「お前が生きているだけでお母さんとお父さんはとても嬉しいんだよ。」 「お願いだから、逃げて。誰にも見つからないように遠くまで行って。」 「お前ならできる。」 「‥‥何で‥‥?何でこうなるの?お母さん達と‥‥もう会えないの?‥‥逃げないといけないの‥‥?」 「‥‥そうよ。逃げないといけないの。お願いだから。ね?」 「‥‥」 私は黙ってしまった。 「‥‥分かった。‥‥私‥‥お母さんとお父さんの分まで生きるから。絶対に、生きるから‥‥」 そして、お父さんは私を誰にも見られずに逃がした。
何日も何日も走って、転び、怪我をしながら、やっと安心できるところについた。 それもつかの間。すぐに兵士が来て、また逃げなければならなかった。
こうして、今、私はいろんなところに逃げながら暮らしている。 いわゆる逃亡生活。
今の私には昔のような「生きる」力がない。なのに、足が勝手に走り出す。 もう、私は逃げたくない。 静かに生きていきたかった。 幸せに生きていきたかった。 遅い。 すべてが、遅い。 私の人生に終わりを入れたい。もう、嫌だ。
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