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作品名:すっぴんの女 作者:柳 糸佳

第2回   先生の手
 女の子は小学校へ行くようになりました。
 ある日女の子は具合が悪くなりました。自分の席で寒いと言って震えていました。休み時間にお友達が担任の先生に女の子が具合悪そうだと伝えてくれました。

 担任の先生はおでこに手を当てて、それから保健室へ連れて行ってくれました。
 この日は保健の先生はお休みでした。保健室の窓には薄いカーテンが引かれてました。そしてとても静かでした。
 先生は女の子にベッドに寝てなさいと言って、「困ったなー」といいながら机の上をきょろきょろ見ていました。先生は体温計を見つけるとベッドのそばに戻ってきました。

 女の子のほっぺたも唇も赤く、目は熱のせいで潤んでいました。先生は女の子をちょっと見つめた後、洋服の下から体温計を入れました。先生の手は女の子の体の上をあっちこっち寄り道しながら体温計を脇の下に挟みました。女の子は先生の手がわざと寄り道しているように感じました。さっきおでこに触った先生の手とは違う人の手のようにも感じました。でも、女の子は黙っていました。

そして誰にも言いませんでした。


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