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作品名:年神さま 作者:大木独活

最終回   一番鶏が鳴く頃にゃ
村の外れに小さな祠があった。弥助という村人を祀っていると伝えられている。

毎年、元旦の夜になると、村中の家々を回って村人たちに『年の札』を配って歩く年神さまが遣って来る。

弥助という若者がいた。日頃から年を取りたくないと思っていた弥助は、今年は年神さまが遣って来る前に、どこかに身を隠そうと考えた。
村外れに野菜屑を捨てる大穴がある。
――ここなら見つからんじゃろ。
そう思った弥助は、夜になるのを待って家を抜け出し大穴へもぐりこんだ。

年神さまが村中を回わり終えると、どうしたことか、今年は『年の札』がたくさん余ってしまった。
――おかしいな! 今年は数を間違えたかな。
持って帰るわけにもいかず、年神さまは困ってしまった。
――そうじゃ! 村外れに大穴があった。
年神さまは大穴に『年の札』を捨てて帰ることにした。

さて、弥助は大穴の中ですっかり眠り込んでいた。
翌朝、一番鶏の声で目を覚ますと弥助は勇んで家に帰った。
――ぎゃっ! 誰じゃおまんは?
と、いきなり女房のとめが叫んだ。
戸口には、顔も手足は皺だらけ、腰の曲がった白髪の老爺がひとり立っていた。


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