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作品名:ポスト 作者:大木独活

最終回   1
あなたは、ポストの前で、こんな不安に襲われたことはありませんか? 

貼ってある切手の金額は正しいか、郵便番号や宛名・住所の漢字は間違っていないか、さらにはポストの小さい口と大きい口のどちらに入れたらよいのか、私はいつも考えこんでしまう。

投函する直前。
なかなか踏ん切りが付かず封書から手を離せない。中がいっぱいで、つぎからつぎへと押し込まれて、皺くちゃになってしまうんじゃないかと思ったりする。

羽蓋が開いて、郵便物が外まではみ出しているときなど、無理矢理突っこもうという気にはどうしてもなれない。別のポストを探しに行く。このような場合に備えて、会社の周辺では2つ目のポストを確保している。ちなみに、自宅の近所にはポストがないため、市の中心部にある通称「本局」と呼ばれている大きな郵便局へ車に乗って出しに行く。本局なら24時間なんの問題もない。

余談だが、郵政民営化になる以前から屋外のポストの数は減っているそうだ。その代わりというか、提携しているコンビニのレジカウンターの脇などに、家庭用郵便受け程度の小型ポストが設置されている。しかし、私はその恩恵に浴していない。なぜなら、近所にコンビニがないからだ。

雨の日。
投入口を塞いでいるステンレス羽蓋に水滴が付いている。私は封書や葉書が濡れて宛名の文字が滲まないようにと、大きなタオルを持参し投入口の周囲を丁寧に拭いてから投函する。

こんな私は少しばかり神経質なのだろうか?


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