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作品名:美容外科医 作者:大木独活

最終回   繁盛していたはずの美容外科が、なぜか……
ボクは少しは名の売れた美容外科医だ。銀座の一等地にクリニックを開設して3年が過ぎた。毎日、全国から患者が殺到する。予約は1年以上先まで埋まっている。

趣味は中学時代から油彩だ。ただ、画風は他人の影響を受けやすい性質(たち)だ。今はもっぱら鑑賞するのみで描くことはない。

先月、やっと1週間の休暇をとって、ヨーロッパの名立たる美術館をめぐった。スペイン、フランス、イタリアと回り、最後はノルウェイまで足を伸ばした。ピカソやダリ、ムンクの作品には、正直魂を揺さぶられた。

旅行から戻って1カ月になる。どういうわけか、最近、患者からのクレームが急に増えた。くわえて、予約のキャンセルも相次いでいる。

「腕が落ちたわけでもあるまいし……。近所に新しい美容外科がオープンしたのかな?それとも、掲示板に中傷記事でも投稿されたのか?」
などと、いろいろ考えをめぐらせてみるものの、定かな理由は未だに不明だ。


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