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作品名:永久に続くはずの遺言 作者:天野久遠

最終回   エピローグ
今度は私の方が娘さんから質問を受けました。

どうやら彼の日記は、日記というよりは、その日その日に自分の心の中に住む自分自身を客観的に書いたもののようだったらしいのです。
ですから、具体的な内容というのが分りにくいようで、私との関わりの発端もそこになかったようなのです。

あれは・・・
私は初めて彼、道雪さんと会った時のことを思いだしていました。
その時の状況からすると、会うというコトバはあまり適切だとは言えないのですが。。

そう、あれは1年半くらい前の事でした。
お洗濯を終えてPCを立ち上げ、いつものように昔のお友達が始めたチャット・ルームでチャットをしていた時の事です。

その人はいかにも不馴れなように、みんなの会話に入ろうとしていました。
というよりは、ご自分でも何かを言いたかったのでしょうが。。
みなさんの発言するスピードには、とてもついていけなかったようで、時折、「あっ」とか「うっ」とか書いていました。

ただ、彼のお話の内容というのは、何だか場にそぐわないというか。。
そんな状態だったので、あまり話題にならずそのうちに聞き役のようになってしまいました。
その時には誰も、彼の真意を考えなかったでしょうし、こういっている私も「変なおじさんだなぁ」と。

そうです、それが道雪さんだったのです(笑)
そんなお話しを娘さんにしていると、私の中には、不安よりも懐かしさで一杯になったのでした。


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