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作品名:永久に続くはずの遺言 作者:天野久遠

第1回   プロローグ
 「私もここを離れることになり、もう、あなたとはやり取りすることが出来なくなります。」

 「本当のことを告げるべきか、それとも…」
 「悩んだ結果、私は、私があなたについて感じたままを素直に受け取って、本当の事を告げることにしました。」

 「ですからここからは、真実だけを率直にお話しします。」

 「今までのあなたとのやり取りの全ては私でした。」
 「私は娘であって、父ではないのです。」

 「これまでのお話の内容などは、全て父が生前に書き置いたものです。」

 「そうです。」
 「父はもうこの世にはおりません。」

 今日、チャットでいきなり、こんなやり取りから始まった。

 私は目を疑うばかりでした。
 そして彼がもう、この世にはいないとなど今も信じられません。

 ただ…本当に彼らしく感じたのは、このように告げられるまでの私との事。
 それをそうなる前から、全てを見透かしたように、ちゃんと会話できる内容として書き留めていたということ。
 そして最後まで、どうするのかは娘さんに拓したこと。

 決して誰にも無理はさせないという彼らしさを感じ取ると、

 「たぶん…本当なんだ。」

 もしそれが嘘であっても、そう思わなくてはならない念に駆られてしまうのです。
 それでも、やはり私には信じられなくて、娘さんには質問ばかりになってしまいます。
 


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