「ロンベルト宰相、少し警戒が過ぎるのでは無いですか。ノイエの国がどれほどのモノだというのです。」 「いかにも。あの一行を見ましたか?前の王の時は、千にも及ぶ大軍を外交の一行に連れて来たというのに、 今回は、10名程度。あれで、我らに何を話しに来たのか。」 「まったく。せいぜい、物資の供給に我らの手助けを請うて来ているのは明白ではないか。」 「ノイエの新王は、王族の心も解らぬ貧相な王だと言うではないか。あの程度が積の山だ。」 「いやいや、まったく。」
出てくる言葉は、ノイエの外交一行を罵る言葉にも聞こえる事を部屋の一室で話していた。
咳払いを一つした後、 「皆々様の言われることは十分に解っています。しかし、警戒しておくのに、問題は無いかと思います。 新王即位して後、ただの一度も外に目を向けてこなかった。 それは、他国に目を向けるよりも、自国を優先してきたと考えるべきです。 そして、自国の目処がたったので、他国への関心を示してきた。 そう考えるならば、この新王はただの王ではありません。 たった5年程度で、自分の国をまとめたのです。それができる王が、ザクトに目を向けてきた。 何かあると考えておいて良いはずです。」
ロンベルトと呼ばれた顎髭をた結わえた年は40を越えたばかりの慧眼の男は、居並ぶ官僚達を見据えるように はっきりとした口調で述べた。 その鋭き眼光に、官僚達も萎縮してしまい、ロンベルトを半ば宥める様に、制した。
「では、最初の手はずどおり、他国は我らザクトを軍事国家として認識しております。 それを示すように全員鎧武装し、彼ら外交達を迎えましょう。 彼らには、認識が変わらぬよう帰って貰います。」
「う、うむ。」
部屋の密談も終わり、官僚達が部屋を出て行き、1人ロンベルトが残った。 「私の想像が正しければ、ノイエの王は、危険だ。一瞬とて気は抜けない。」
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