「そもそも央国にザクトが攻め入った事からナッシュが言った言葉は生まれたのだ。 央国が許さないと言ったのは、この全土の構造から、十分にありえる発言だ。 何の脈絡も無い言葉にも関わらずそれを当然の言葉と認識する。 お前達に限らず、王族ですらも央国に生かされているという認識を持っている者は多い。 ノイエですらこの状況だ。他の国ともなれば火を見るより明らかだ。
そして、神の鉄槌とはそもそも、央国が保有する強力な兵器の事。 央国に攻め入るような事があれば、その兵器を持って挑むぞという警告に他ならない。
央国が許さないと言った事と神の鉄槌とやらは同意語ではなく、まして、確固たる意図のある言葉ではない。」
アルスのはっきりと明言した言葉に一同押し黙ってしまった。 一息ついた後、
「央国との問題が根深いのは分かる。だが、一つお前達に確認しておきたい。 先にもノイエの事は俺が決めると言った。 だが、お前達の中には、未だ央国が、我々に介入していると考えている。 限りない繁栄をもたらす事ができるのは、このアルスかそれとも央国かお前達はどう考えている。」
「もちろん、アルス陛下です。」
「ならば、答えは一つだ。央国を滅ぼし、全ての国を統一する必要がある。その先駆けとしてザクトに攻め入り、 ギャンベル、ソドムも手中に入れ、その上で、央国を滅する。」
アルスの揺るがない言葉に、反論する言葉も無く押し黙る官僚達だったが、口を開いたのは宰相に任じられたキーヴだった。 「陛下。お言葉は十分に理解できたと思っています。しかし、なぜ、他国を攻める必要があるのですか? 央国だけを滅ぼす事でも十分事足りると思うのですが。」
「ダメだ。央国だけ潰しても何も変わらない。全ての国を変える必要がある。 その為には、ザクトもギャンベルもソドムも全て変えるんだ。」
「それは、何故?」
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