20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:Legend Of Wind 作者:xin

第27回   第26章「末路」
皇は、椅子に凭れかかるようにうな垂れた。

刃霧が一歩を踏み出して歩こうとした瞬間、ばっと後ろを見るや否や、入鹿ごと押し倒すように横にとんだ。
入鹿は、なんの準備もしていなかったので、そのまま地面に倒れた。

刃霧は、刀と入鹿をうまく使い、地面に降り立ち、構えた。
刃霧が、先ほどまで居た地点に無数の細い棒状のナイフが地面に刺さった。

刃霧は、後ろを振り返ると、そこには、相変わらずの黒い衣装に身を纏い、片腕を無くした闇撫が立っていた。
「へへ、へへ。刃霧。お前は殺す。」

「お前か。そうだな。お前はまだ、殺していなかったな。皇よりも先に、冥府に送る必要があったな。」
刃霧は皇に背を向け、闇撫と対峙した。

闇撫は、半狂乱の状態だった。恐らく、先ほどまで民達に打ち込まれた薬を打っているようだった。
「刃霧。お前の血が見たい。お前の血が俺を一層楽しく興奮させる。お前を殺すのが俺の楽しみだ。」
「いいのか、皇様の御膳だぞ。無礼じゃないのか。」

「ははは。そんなこと俺の知ったことか。お前を殺す。他の奴らなど知るか。ひゃははは。」
歓喜の叫びと共に闇撫が向かってきた。飛び上がり、右腕の袖を振り下ろすと、袖の中から暗器が飛んできた。
刃霧は、それを交わし、横にとんだ。
「入鹿、間合いから外れろ。こいつは容赦が無い。飛び火したくなければ、安全な所まで離れていろ。」
「だが、・・・・わかった。」
そういい、入鹿は、刃霧と闇撫との戦いから少し離れた。

闇撫は、麻薬により精神が崩壊していた。
目に見えるものが敵そういったものも感じ取れた。

事実、戦いの最中、暗器の一つが、逃げ送れた零孔の胸に刺さり、血が飛び散った。
それを見るや獣じみた叫び声を上げ、興奮を表すとまるで犬が駆けるかのように3本の手足で床を駆け、

零孔の胸の上に飛び掛ると、持っていたナイフで零孔の体を何度も突き刺した。
最初、助けを請うていた零孔だったが、徐々に声は失われ、何も発することの無い遺体となった。

だが、闇撫はそれでも突き刺す事を辞めなかった。

入鹿がその様子を口を押さえながら、
「ひでぇ。仲間を殺しやがった。命が尽きているのに、なんてむごい事を。」

刃霧は、地面に落ちた暗器を拾い上げ、闇撫に向かって投げた。闇撫は、向かってきた暗器を振り落とすと、何度も零孔の体に突き刺していた手を止め、刃霧を見た。
「いつまで、肉の塊の相手をしている。お前の相手は俺だ。」
闇撫は、狂った叫び声と共に、飛び上がり刃霧に向かって突っ込んできた。
刃霧は、刀を下に向けたまま、闇撫が降りてくるのを待っていた。

「ははぁん。」
と笑い、袖に隠した暗器を投げた。刃霧は、それを一寸の見切りで交わし、
「我流、風塵」
と言葉と共に、刀を上に振り上げた。闇撫は、刃霧の横を通り過ぎ、そのまま、勢い欲地面に転がった。

入鹿は、刃霧と闇撫を交互に見た。闇撫は、地面に倒れたときには既に、腰のあたりから、十字に4つに切れていた。
「なんだ、今のは、上に振り上げたように見えたが、4つに分かれて。。。。」
闇撫は、自分の体が切られたことが、半分解っていなかった。
「ははは、血だ。真っ赤な血だ。ひゃははは。刃霧ぃ。見ろ。血だ。」
刃霧は、冷たい目で、それを見、
「お前にはお似合いの光景だ。」
そういい、刀についた血を振り払い、闇撫に背を向けた。

入鹿を見るや、
「皇はどうした。」
「あん。あれ?どこに行った。」
「お前に聞いている。」
「悪い。知らない。」
「役に立たない奴だな。行くぞ。」

「悪かったな。。。。いや、ちょっと休んだらどうだ。戦いすぎた。体を酷使しすぎだろう。」
「全てが終わったら、休むさ。今は進むだけだ。」
「。。。。。わかった」


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2339