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作品名:Legend Of Wind 作者:xin

第20回   第19章「一つの決意」
夜叉の死は、すぐに皇帝の耳に入った。
皇は、皆の前で泣いて見せた。

「また一人、私に忠誠を誓ったものが死に絶えるとは。なんと痛ましくそして悲しい事だ。
刃霧を求める事は至難な事というのか。四鬼神の力を持ってしても適わぬ事とは。」
部下を悲しむと同時に、残ったものを蔑み、頼りのなさを問うように言う事で、

残った闇撫と、広重は逆撫でられた間隔を覚え、皇の前を後にした。

広重は、闇撫と連れ添い歩きながら、声をかけた。
「闇撫、このままでは我らの立場が無い。ここは、やはり結託し、軍を率いて包囲しなければ。」
闇撫はその言葉を聞きつつも、表情を変えずに、返事をしなかった。
広重は再度、闇撫に、詰め寄ったが、表情を変えないまま、広重を見、
「俺は俺で勝手にやる。お前の意見を聞く耳は持たない。夜叉も戒爪も甘い。
俺はあいつらとは違う。刃霧と正面きって戦うなど馬鹿な行為だ。

無駄に兵を減らして、挙句の果てに失敗をしている。捕獲というのはこうやるって事をお前にも教えてやるよ。ひひひ。」

闇撫は、目を細め、薄く笑うと、その場を後にした。
広重は、一人残り、
「くだらないプライドに固執した結果がこれか。あとは、闇撫が運良く刃霧を捕らえることを願うばかりか。」
と呟きながら、同様に、その場を後にした。

夜叉が襲ってきた村に刃霧はまだ滞留していた。

その村は、村として存在していたであろう痕跡がいくつか残っていた。
恐らく、夜叉達は刃霧を襲う為だけに、村人達を村から追い出し、そこを戦場に変えた。

「皇帝の力という奴か。ここまでするとは派手な奴らだな。
さて、傷も癒えた。毒の痕跡も無い。

これからどうするかな。
残り二人か。そろそろ、諦めて欲しい所だか、どうかな。
一人は広重。もう一人は、あのチビか。どちらが来るか。いや、それよりも俺はこれからどうする。
ただ奴らを待つか。しかし、これでは、あいつらから逃げているのと同じか。俺はこの先どうするかな。」

刃霧は、立ち上がり空を見上げた。風が心地よく靡いていた。
雲が流れ、太陽を隠した。

先ほどまで明るかった周りは隠れた太陽のお陰で暗くなった。
刃霧は変わらず、立ち尽くし、空を見続けていた。

雲は流れ、隠した太陽をまた表に出した。刃霧は、ふっと笑うと、見上げていた顔を元に戻した。
「よし、決めた。皇って奴にこっちから会いに行くか。
あいつが俺を欲しがる理由ってやつも知りたいし、俺に敵意があるならその場で始末すればいい。
後手後手に回るのもいい加減うんざりだ。」
地面に突き刺した刀を抜くと、腰に差した。

「よし、いくか。・・・・・・・・ところで、皇は、どこにいるんだ。
そもそも首都はどこにある?あれ、全然知らないぞ。
困ったな。うーむ。仕方が無い。近隣の村で聞くか。」
荷物を抱え、村を後にした。


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