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作品名:杏色の泉 −色彩の森シリーズ− 作者:xin

第9回   第09話 二日目・24:00
すでに、深夜を過ぎ、次の日になっていた。
内藤家の別荘内では、両親と共に、いつ来るか解らない誘拐犯からの電話を待つ刑事達
犯人及び、頼子ちゃんを監禁してい場所を探すモノたち、

だが、探すにしても現段階で何の手がかりも無く、近隣の怪しいと思う場所を探すだけで
そこに根拠も脈絡も何も無い状態で動くだけだった。

二日目・5:00
朝もやが白み、太陽がまぶしい日差しを照り付けだした頃、1億を乗せた車が別荘に到着した。
そして、それを待っていたかのように、3本目の電話がかかってきた。

電話口を通して皆にも聞こえるようにスピーカーから流れた声は変声機でも通しているのか
誰かを判断することは出来ない声だった。

「やぁ、おはよう。夏とはいえ、この時間はまだ肌寒いね。
一億は、用意できたかい。そろそろ、受け取りの話に移ろうと思ってね。
君達が今いる場所から北に300M行くと、小高い展望台があるね。
そこに現金を持って立っててもらえるかい。僕が受け取りに行くよ。
時間はそうだな。13:00としようか。その時間に、お金を持って立っててくれるかい。
お金を持って立つのは、限定させてもらうよ。
そうだなぁー。女性がいいな。刑事でもなく、内藤にも関係の無い女性を立たせてくれ。
ああ、それから、金を持って立つ女には、携帯を持たせてくれよ。
内藤の持っている携帯を持たせてくれ。よろしく。」

「待ってくれ。娘は、頼子は無事なのか?」
「無事だよ。」
「声を、声を聞かせてくれ。」

「信用無いな。もしかして、時間を引き延ばして、逆探知でもしようとしているの?
無駄だと思うけど。」
「娘の無事が知りたいだけだ。」
「解ったよ。頼子ちゃん。お父さんだよ。電話変わってくれって。」
受話器の向こうから、パタパタと駆けてくる音が聞こえ、
「もしもしぃ、パパ。頼ちゃんだよ。待ってる。早く来てねぇー。。。」
受話器を取り上げ、
「聞こえたかい。娘さんの為に、がんばってくれよ。」

プツン と電話が切れた。
刑事は、逆探知で、中継点を調べたが、携帯電話を使ったようで、特定には至らなかった。
伸也達も、捜索から戻り、家で待機していたので、3本目の電話のやり取りは全て聞くことが出来た。

部屋にいた刑事は、
「話の内容からして、犯人は近くにいるのは確かのようです。
とりあえず、捜索はこちらに任せてください。
受け取り時間は、13:00ということでしたので、そこにお金を持っていきましょう。
内藤家ではない人間ということでしたので、お手伝いさんの森田さんにお願いする形で良いでしょうか?
13:00までは、時間が出来ました。まずは、体を休めてください。」

伸也は、その様子を見ながら、家を出て行った。
後に続くように、大介、拓也、ユキ、由里、奈津、数名の刑事と、加藤も外に出た。
交代制と言っていたが、大介も拓也も夜を徹して、頼子ちゃん捜索を買って出たのだが、
良い結果には至っていなかった。

直接関係無い事だとしても、ここまで巻き込まれれば嫌が応にも緊張感が高まる。

「おい、やべぇよ。本当に指示が来たぞ。」
「ええ。」
「どうする?いまだ、手がかりが全くないし、このままいったらあの、頼子ちゃん殺されちゃうかもでしょ。」
「ええ。」
「ちょっと、何冷静に返事してんのよ。なんか、無いの。手がかりとか。」
「ええ。」
「伸也君。聞いてます?」
「。。。。。」

伸也は、先ほどの電話のやり取りを思い返すように考え込んでいた。
「加藤さん、会社関係者は、誰か目星はつきましたか?」
「一昨日、昨日と休んでいる人間は何人かいた。
だが、どれもアリバイはあやふやなモノばかりだ。」

「そうですか。ところで、娘さんは、この別荘に以前も来たことがありますか?」

「去年も、おととしも来ている筈だ。別荘を買ったのは2年前という事だから、
少なくとも2回は来ている筈だ。」
「すぐに確認を。」
「わかった。」

「読みが正しければ、犯人の潜伏場所と頼子ちゃんの居場所が解ります。
早速捜索にかかります。この近隣の地図と、立てられている別荘の間取り及び、
契約者の資料を取り寄せてください。」
「それをどうするんだ?」
「説明は後です。先に居場所を見つける必要がある。」
「わかった。」
刑事は、すぐに資料を用意するべく奔走した。


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