すでに、深夜を過ぎ、次の日になっていた。 内藤家の別荘内では、両親と共に、いつ来るか解らない誘拐犯からの電話を待つ刑事達 犯人及び、頼子ちゃんを監禁してい場所を探すモノたち、
だが、探すにしても現段階で何の手がかりも無く、近隣の怪しいと思う場所を探すだけで そこに根拠も脈絡も何も無い状態で動くだけだった。
二日目・5:00 朝もやが白み、太陽がまぶしい日差しを照り付けだした頃、1億を乗せた車が別荘に到着した。 そして、それを待っていたかのように、3本目の電話がかかってきた。
電話口を通して皆にも聞こえるようにスピーカーから流れた声は変声機でも通しているのか 誰かを判断することは出来ない声だった。
「やぁ、おはよう。夏とはいえ、この時間はまだ肌寒いね。 一億は、用意できたかい。そろそろ、受け取りの話に移ろうと思ってね。 君達が今いる場所から北に300M行くと、小高い展望台があるね。 そこに現金を持って立っててもらえるかい。僕が受け取りに行くよ。 時間はそうだな。13:00としようか。その時間に、お金を持って立っててくれるかい。 お金を持って立つのは、限定させてもらうよ。 そうだなぁー。女性がいいな。刑事でもなく、内藤にも関係の無い女性を立たせてくれ。 ああ、それから、金を持って立つ女には、携帯を持たせてくれよ。 内藤の持っている携帯を持たせてくれ。よろしく。」
「待ってくれ。娘は、頼子は無事なのか?」 「無事だよ。」 「声を、声を聞かせてくれ。」
「信用無いな。もしかして、時間を引き延ばして、逆探知でもしようとしているの? 無駄だと思うけど。」 「娘の無事が知りたいだけだ。」 「解ったよ。頼子ちゃん。お父さんだよ。電話変わってくれって。」 受話器の向こうから、パタパタと駆けてくる音が聞こえ、 「もしもしぃ、パパ。頼ちゃんだよ。待ってる。早く来てねぇー。。。」 受話器を取り上げ、 「聞こえたかい。娘さんの為に、がんばってくれよ。」
プツン と電話が切れた。 刑事は、逆探知で、中継点を調べたが、携帯電話を使ったようで、特定には至らなかった。 伸也達も、捜索から戻り、家で待機していたので、3本目の電話のやり取りは全て聞くことが出来た。
部屋にいた刑事は、 「話の内容からして、犯人は近くにいるのは確かのようです。 とりあえず、捜索はこちらに任せてください。 受け取り時間は、13:00ということでしたので、そこにお金を持っていきましょう。 内藤家ではない人間ということでしたので、お手伝いさんの森田さんにお願いする形で良いでしょうか? 13:00までは、時間が出来ました。まずは、体を休めてください。」
伸也は、その様子を見ながら、家を出て行った。 後に続くように、大介、拓也、ユキ、由里、奈津、数名の刑事と、加藤も外に出た。 交代制と言っていたが、大介も拓也も夜を徹して、頼子ちゃん捜索を買って出たのだが、 良い結果には至っていなかった。
直接関係無い事だとしても、ここまで巻き込まれれば嫌が応にも緊張感が高まる。
「おい、やべぇよ。本当に指示が来たぞ。」 「ええ。」 「どうする?いまだ、手がかりが全くないし、このままいったらあの、頼子ちゃん殺されちゃうかもでしょ。」 「ええ。」 「ちょっと、何冷静に返事してんのよ。なんか、無いの。手がかりとか。」 「ええ。」 「伸也君。聞いてます?」 「。。。。。」
伸也は、先ほどの電話のやり取りを思い返すように考え込んでいた。 「加藤さん、会社関係者は、誰か目星はつきましたか?」 「一昨日、昨日と休んでいる人間は何人かいた。 だが、どれもアリバイはあやふやなモノばかりだ。」
「そうですか。ところで、娘さんは、この別荘に以前も来たことがありますか?」
「去年も、おととしも来ている筈だ。別荘を買ったのは2年前という事だから、 少なくとも2回は来ている筈だ。」 「すぐに確認を。」 「わかった。」
「読みが正しければ、犯人の潜伏場所と頼子ちゃんの居場所が解ります。 早速捜索にかかります。この近隣の地図と、立てられている別荘の間取り及び、 契約者の資料を取り寄せてください。」 「それをどうするんだ?」 「説明は後です。先に居場所を見つける必要がある。」 「わかった。」 刑事は、すぐに資料を用意するべく奔走した。
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