20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:杏色の泉 −色彩の森シリーズ− 作者:xin

第11回   第11話 二日目 14:00
内藤家に一本の電話が入った。
「やぁ、こんにちわ。金はありがたく受け取ったよ。
でもね、まだ娘さんは返せないんだ。」

「まさか?」
明らかに、動揺を隠せない刑事達。

内藤が、
「娘は、頼子は、いつ返してくれるんだ。お前の願いどおり金を渡したではないか。」
堰を切ったような悲痛な声に、返ってくる言葉は、愉快な態度が表に出たかのような軽快な笑いからだった。
「わははは。先ほどの電話が記録されているんだろう。なら確かめてみるといい。
俺は、ただの一度も娘と引き換えなんて言ってない。
これは、手付金のようなモノだ。再度、身代金の提示をする。
5億だ。5億の金を用意しろ。用意できたら、娘と交換してやるよ。」

金額の大きさに唖然とする一同。
電話の声を返すかのように、伸也は割って入り、
「わかりました。5億ですね。受け取り場所は、先ほどと同じ場所でいいですね。」
その言葉に、電話の男は、叫んだ
「誰だお前は?」

伸也は、ふっと笑った後、
「警察関係者ですよ。5億の金額は了解しました。
ところで、場所はいいとして、お時間はいつお渡しすればいいのでしょう。」

「何を言っている。嘘を言うな。そんな大金、すぐに用意できる筈がない。」
「なぜ、そんなコトを言われるのですか?
一億とて十分に大金でしたが、それを用意しろと言われたのは貴方ですよ。
一億は用意させておいて、5億になった途端、
用意するのはムリといわれる貴方の根拠は何ですか?」

「うるさい。いいのか、内藤の娘を殺したっていいんだぞ。俺は。」
「おかしなことを言わないでください。金は用意すると言っているのです。
あなたの条件を飲むと言っている者の言葉を無視して殺したのでは貴方は、完全な犯罪者ですよ。」

「黙れ。じゃ、じゃあ、金額を吊り上げる。10億だ。10億を用意しろ。15:00までだ。」
その言葉を聞いて伸也は後ろをチラリと振り返った。目線を合わせたのは、孝仁だった。
孝仁は、コクリと頷いたのを見届けると、伸也は受話器に視線を向け、
「わかりました。10億を15:00ですね。」

「用意できなければ、娘は殺すからな。絶対にだ。」
「わかりました。では、10億を用意し且つ、あなたに渡せば、娘さんは返してくれるのですね。」
伸也の言葉に返答無いまま電話が切れた。

頼子の父親である高志は、、伸也の胸倉を掴むと、
「お前は何なんだ。勝手に入ってきて。
5億でもムリだったのに、10億の金を用意なんてムリだ。何を勝手な事をしているんだ。
頼子が殺されでもしたら、どうなるか解っているのか?」
と大きな声で唾を浴びせるようにして叫んだ。

「孝仁さん。10億用意できますね。相手に渡るのは絶対に阻止します。
ですが、用心の為に、今すぐに用意してください。
僕の方は、すでにコチラに向かわせています。

それから、加藤さん、僕の読みが正しければ、30分以内に、来訪者が来ます。
その後に、この地図の赤い丸印の箇所に言ってください。ここが、恐らく犯人の潜伏場所です。
犯人はいないでしょうが、娘さんはいます。攫ってでもいいから捕まえるように。」
加藤は、その言葉を聞いて、
「わかった。」と一言だけ言った。

伸也はまだ、胸倉を掴まれた状態だった。自分の胸を掴んだ内藤高志と視線を合わせ、
「すいません。実は、頼子ちゃんの居場所は、13:00よりも前に見つけていました。
ですが、僕は関わってしまった以上、知らなければならない。
犯人の目的も、それに付随する行動も。
もちろん、人を要して、今すぐにでも犯人を捕まえることは出来ます。
ですが、実行犯だけ捕まえても、本当の解決にはなりません。
だから、事の顛末を最後まで明確にする必要があったのです。
10億はあくまでも保険です。お金も用意できないのに、冒険はしたくない。だから、お金はきっちり用意します。」

その言葉に、父親も思わず伸也の胸から手を離した。
伸也は、服を整えながら森田の前まで来た。
「携帯電話を貸していただけませんか?内藤さんの携帯です。」
森田は、ポケットから内藤の携帯を取り出し、伸也に渡した。
伸也は、内藤の携帯を右手で手に取り、左に持ち帰ると、再び右手を差し出し、
「では、次にあなたの携帯も渡してください。」
と言葉を付け加えた。森田は、驚いた顔をして、伸也を見た。
加藤達は、伸也と森田を囲うように、周りに立ち尽くすと、森田も観念したかのように
黙って携帯を伸也に渡した。

伸也は、携帯がバイブ状態になっているのを確認するとそのまま両手に持っていた携帯を応接テーブルに置くと、内藤家の夫婦の向かいに座った。

誘拐対策の指揮を取っている刑事が、伸也の傍に寄り、
「一体どういうことだ。お前は何を知っている?詳しく話せ。」
伸也は、いつもの冷静な表情が戻り、少し微笑んでいる姿さえ垣間見え、
「森田さんの所にメールが来ます。もう少し待ってください。
自分の予想に反した出来事が起こり、想像すら出来なくなっている。
挙句に、自分の不利もわからずに迂闊にも相手の領域に入り込もうとしている。
その後ならば、いくらでも説明しますよ。」

ブィィィィンとテーブルに置かれた携帯がバイブで小刻みな音を立ててテーブルの上で踊っていた。
伸也は、バイブがなる森田の携帯を手に取り、メールの画面を開いた。
文面を見るやニヤリと笑う顔が、伸也を見る全ての人に色々な思惑を乗せた。

「怖い。。。」
「気持ち悪い。。。」
「気味悪い。。。」

傍にいた刑事が携帯を取り上げ、メールを見た。
文面は、
”先ほど電話に出た奴は、何者だ?”
非常に簡単な文面だったが、刑事には、犯人との協力関係にある者が誰なのかを明確にした。
すぐに森田の身柄を押さえるように他の刑事達に命じた。

森田は、刑事達に捕まると、その場で倒れこみ、声を上げて泣き出し、
誰に許しを請うのかも解らないほど声にならない声で謝罪を続けていた。

刑事達は、森田を抱き起こし、別室に連れていた。
事が進みだした様子を感じて、動揺する内藤高志
ただ、ひたすらに沈黙を守る内藤和美

それらの様子をジッと見つめている伸也だった。

別荘前に車が停止する音が聞こえ、車のドアが勢いよく開いて閉まる音が聞こえた。
「ピンポーン」 家のチャイムが鳴り、

刑事が1人、ドアを開けるとスーツ姿の男が1人立っていた。
「あなたは?」
「社長秘書の、木田と申します。社長はご在宅ですか?」
「ええ。」
「部屋に入っても?」
「どうぞ。」

刑事の誘導に、靴を荒々しく脱ぎ去ると
居間に入っていった。
「ご無事ですか?社長。」
部屋に入るなり、安否を気遣う社長秘書。
「頼ちゃんが誘拐されたって聞いて、あの、大丈夫ですか?」
「木田君。。。」
「身代金は、渡したんですか?頼ちゃんは、どこに?」
「まだ戻ってないんだ。」
「そんな。。。犯人、犯人は?」
「いや、それが、解らないんだ。」
木田は、内藤の顔を見つつ向かいのソファに座る子供に自然と目が行った。
「君は誰だ?」

その言葉とは別に、伸也からの指示を受けていた刑事達が部屋に入ってきた。
「頼子ちゃんを無事保護しました。」と皆のいる前で報告がされた。
その報告に部屋にいた誰もが安堵の声でざわついた。

娘の無事を聞いた内藤高志はすぐさま娘のいる所へと走り出した。
母親でもあり妻でもある内藤和美は父親の反応とは反してソファに座ったままだった。
秘書である木田も、立っていたが和美の横に座り込んだ。

「良かったですね。人質は戻りましたね。」
「ああ。」

伸也は一呼吸置いて、向かいに座った木田と妻和美を見た。
「ところで、木田さん。それに、頼子ちゃんのお母さん。
頼子ちゃんが保護されたというのに、なぜ、ソファに座ったままなんですか?
父親である高志さんは取るものとりあえず、娘さんに会いに言ったと言うのに。」

和美は黙ったまま絨毯に穴でも開けるのかと思う程じっと下を見ていた。
木田は、右上に視線をあげたあと、
「親子の再会を邪魔する無粋な真似はしたくありませんから。
それにしても、君は一体誰なんだ?
さっきから見ているが、随分と、馴れ馴れしくないか?」

木田の言葉にプッと吹き出したかと思うと声を上げて笑い出し、
「僕以外にもあなたと顔見知りではない人はたくさんいるのに、どうして僕にだけ反応するんですか?
ところで、頼子ちゃんとは面識は?」

「当然、あるよ。社長とは、それこそ、家族ぐるみで付き合ってきているんだ。
頼子ちゃんだって知っている。」
「なるほど。」
「では、頼子ちゃんの元気な姿をみてやってください。

そういうと、立ち上がり、部屋の扉を開けようとすると、木田がそれを静止するかのように、呼び止めた。
「待ちたまえ。君は一体誰かと聞いている。これで3度目の質問だ。
知らない人間と気軽に話をするほど私は、気楽な人間ではない。」

伸也は、ドアのノブにかけ様としていた手を止め、木田に振り返った。

「先ほどから何度も同じ質問をしますが、僕が誰かを知ることは重要ですか?
それよりももっと重要な質問があるのではないですか?」

「何をだ。」
「決まっているじゃないですか。まだ犯人から連絡が来ていないんですよ。
もうとっくに相手が指定した時間が過ぎているのにです。」
「それは、頼子ちゃんが解放されたからだろう。犯人は捕まえることなく逃げたんじゃないのか?」

「いいえ。」

「何?」

「まだ、頼子ちゃんは解放されていませんよ。
先ほどは、刑事の1人に嘘を付いてもらったんです。頼子ちゃんが解放されたと。」
「こんな非常時に、なんでそんな嘘をつくんだ。いや、そんな嘘をつく事にどんな意味があるんだ。」

「意味?そんなもの、決まっているじゃないですか。
内藤高志さんをあなた方から引き離すためですよ。」
「何ぃ!?」

「そもそもおかしい事が多いんですよ。今回の誘拐事件は。
誘拐を行った場合、加害者は、被害者へ絶対なる恐怖を植えつける必要がある。
それこそ、絶望的なね。

もっとも有効的なのは写真を写し見せること。
紐で縛り、猿轡でもかませて、悲壮感に漂う顔でも見せるのが最も効果的です。
しかし、犯人はそれを見せなかった。やったのは、靴を置いた程度でした。
なぜ、そうしなかったのか?

次に、犯人は、4度の電話のみ。
まして、2度目までは、森田さんと頼子ちゃんのお母さん以外は誰も聞いていません。
1度目の電話で、家事手伝いの森田さんが電話に出ています。
2度目の電話ではお母さんが、全く別の人が出ているにもかかわらず、
犯人は、自分の目的だけ話すと電話を切ったと言っている。

普通、どんな犯人でも交渉相手は1人です。
聞き覚えの無い声が聞こえれば、その者が誰か?という疑問を相手にぶつける筈です。
しかし、犯人はそれを行っていません。
実際、僕が電話に応答したときには、誰かと聞いて来たにも関わらずです。

なぜ、犯人は、2度目の電話の時に、違う女性の声が電話口から聞こえたにも関わらず、
その人が何者かを聞かなかったのか?

この二つから想定できることは、誘拐をした犯人は、
内藤家に非常に縁があり、顔馴染みではないかという推測が立つ。」

「なるほど。それなら、電話口の相手が誰かを知っているからあえて、誰かを聞かなくても良いということか。」
「はい。そうです。その象徴とも呼べるべきことが、3回目の電話です。
3回目の電話で、初めて頼子ちゃんの声を聞くことができました。

覚えていますね?彼女の声は、誘拐されているストレスを感じることなく非常にリラックスした声でこちらに話しかけてきました。
そこから考えても、彼女は、誘拐され、監禁されている状況で無いとわかります。

そして、もう一つ、彼女は、電話口でこう言いました。パパ待っていると。
その言い様が、最大の疑問でもあったのですが、
頼子ちゃんには、誘拐されているという自覚が無いという事です。

誘拐されていれば、言う言葉は助けを呼ぶ言葉が相場です。
しかし、彼女は、待っていると言葉を発した。

つまり、頼子ちゃんは、自分が内藤さんの別荘にいて、両親を待っている立場にある思っている事です。

ここから考えるに、頼子ちゃんは、
この別荘と、同じような間取り、同じようなレイアウトの建物の中にいる可能性が高いということです。

所詮は、幼子です。大人が見るもしくは見える視点とは、明らかに違う。
何度も来た事がなければ、尚更、自分の家の別荘と思わせることは難しくない。
そこが、内藤家の別荘かどうかの判断がつきにくい。」

「なるほど。だから、地図や間取りを見ていたのか。」

「はい。」

「しかし、森田さんがいなければ、不信に思うんじゃないか?
いつも世話をしてくれる人がいなければ、さすがに、不安になるだろう。」

「そこです。」
「そこ?」

「最初に、頼子ちゃんと一緒に別荘に来た人間が、森田さん以外にもいたらどうですか?」
「どういうことだ?」

「頼子ちゃんは、森田さんと、もう1人と一緒に別荘に来たんです。
そのもう1人は、昨日、今日逢った人間ではなく以前からも知っている人間。

だから、頼子ちゃんも警戒が無く、接することが出きる。
仮に、森田さんが、昨日の段階で、午後から用事があって、別荘を離れるが、
代わりに残りの一人が面倒を見るという構図を作ったとします。
残りの1人が、頼子ちゃんとの関係性が成立すれば、森田さんがいなくなっても、特に問題が無い。」

「じゃあ、初めからそこまで仕組んでいたということか・・・・」
「そうなりますかね。」

「何を言っているんだ。さっきから。子供の推理ゴッコに付き合う気は無い。
まだ、頼子ちゃんが解放されていないというならば、犯人から身代金の要求がされてしかるべきだろう。」
「そうですね。でも、要求がされないんです。おかしいですよね。」

「まさか、頼子ちゃんを殺したんじゃ。」
「それは無いですよ。絶対に。」
「何で、そんなコトがいえるんだ。」
「解放はされていませんが、頼子ちゃんの傍には、刑事が囲っているからです。」

「何だと?」
「頼子ちゃんを監禁している場所の四方を囲うように刑事達を待機させています。
もちろん、建物の内部にもね。内部には、頼子ちゃん以外誰もいない事は既に確認しています。」

「どういう事だ。一体。」
慌てるような木田の言葉にいたって冷静な伸也は、

脇に置いていた封筒を手に持ち、1枚の契約書を取り出した。
そして、そのままテーブルに置いた。

「これは、別荘を購入するときの契約書です。
この避暑地に建てられた別荘の全ての購入者の契約書を全て確認しました。その中の1枚です。
その中に、非常に興味ある1枚を見つけることができました。

最も、見つけた時点では、それが興味の出るモノかどうかは解りませんでしたが、
今現在で言えば、非常に興味のあるモノに変わりました。」

テーブルに契約書を広げ、購入者の名前の欄を指でポンポンと叩いた。

「名前は、”木田靖”となっています。あなたですよね?
正直、この名前を見ても、どこの誰かはわかりませんでした。

でもですね。この契約書と同封されていた借用書。
ここにもあなたのお名前がある訳なんですが、このウラにですね。

”内藤和美”このお名前があった訳なんですけど。
何かいう事は?」
その言葉に、沈黙を守っていた二人も、ピクリと表情を強張らせた。

「そもそも、最大の疑問は、1億という大金を身代金として要求してきた事です。
6歳の子供相手に、1億という数字は、非常に大きなお金です。

将来性を考えた数字としてと捉えてみましたが、犯罪者が、そんな将来性を考えるわけが無い。
では、なぜ、1億なんて額を手に入れたいか。

無茶な数字を言って、陥れたい人間がいるのか?それとも、本当にその金を欲しているのか?
それが是非知りたかった。ですが、それを知る理由を待つ時間はあいにく有りませんでした。

というよりも、期待に反して、勝手に答えが降りてきた。
会社に一億があるので、それを用意すると高志さんは言ってくださいました。

つまり、1億は用意できるあてがあり、そのアテを知っている人間に疑いを向ければいい。
そして、1億は、欲した金額だとね。

しかし、だとすると新たな疑問が沸いてきます。
誘拐犯が、金を手にした後の使い道は、当座の逃走資金として利用するという考えが一般的です。
そして、逃走資金として使うならば、現金として持ち歩くに不便の無い額とすると、数百万程度でしょう。
となると、残りの額は、どうなるか。」

まるでクイズでも出しているかのようにちょっとずつヒントを与え、回答を求めようと周りを見ている伸也がいたが、
誰も答えないのを見て、伸也は口を開いた。

「借金です。
借金を返すために、1億という大きな数字を提示したんです。

では、1億なんて額を借りるようなモノがどこにあるか?ですが、そこは言わずもがなでしょう。
あなた方が、今回の誘拐を行うために買った別荘や、
家の中にある家具・雑貨などがその対象ということになる。

返済は、身代金で使うとして、本来の資金を誰が用意したか。
先ほど言ったようにあなた1人で、それが用意できるとは到底、思えない。
多額の借金をする場合、身元の保証が明らかな人が必要ですよね。

例えば、会社の役員や、社長というのも解りやすいでしょう。
そして、その証明の一つとしてこの裏書が的を射ると言うわけです。」

内藤和美も木田も体全体を震わせているのが印象的な光景だった。

「ちなみにですが、頼子ちゃんが監禁されている場所は、言わなくても解りますね。」

耳裏に隠していたイヤホンとマイクを取り付けなおし、
「聞こえますか?犯人はここにいる人間だと断定されました。
頼子ちゃんの解放を。それから、高志さんにすぐに確認させてください。」

無線のイヤホンの音が思った以上に大きかったのか、部屋に響くように
”了解、確保”という言葉が響いていた。

「さて、罪状はどうなるのでしょうね。誘拐、拉致監禁。加えて、犯罪教唆ですか。
お世話になった社長を差し置いて、犯罪に手を染めたのだから覚悟はしておいた方がいいですよ。」

伸也は、それをチラリと見てから、

「話は、以上です。さて、頼子ちゃんの無事もわかった事です。
さっさと、この鬱陶しい輩を警察にもって行ってください。
子供を盾にしなければ金を奪うことも考えることが出来ない小さき者達です。
死刑でも無期でもどちらでもいいので、さっさと刑務所に入れるべきです。」

その言葉に、刑事達も、犯人達を掴み、車に連れて行った。


加藤刑事は、帰り際、
河北・父や、他の拓也達に対し、
「ご協力大変感謝します。今回の件は、本部に戻り、感謝状の手配をさせていただきます。
本当にありがとうございました。」
と深々とお礼をした後に、車に乗り、帰っていった。

内藤高志は、娘と共に帰ってきたが、いろいろありすぎた疲労感から、玄関先で倒れてしまった。
それを見た娘は、心配そうに父親の肩をゆらしていた。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 42