俺と、大介は、亮兄ぃが改めて検死をしている所に立ち会った。 なぜ、また検死を行うことになったのかはよく解らなかった。 伸也が言うには、見落としがあるかもしれないからもう一度やってもらうようにお願いしたと言っていた。 だが、少し納得できなかったのは、亮兄ぃに対して、意見を言わない事。 彼の言葉をただ聞くのみに徹しろと言われたのはよくわからなかった。
検死が終わった頃、伸也が倉庫に戻ってきた。 「どうでしたか?」 開口一番いった言葉に、亮兄ぃは、イライラした声で、 「さっきと何も変わらないよ。どうせ、俺の言った言葉を信用してないんだろうけどな。 検死しろっていったくせに言った本人がここにいないってどういうことだよ。」
亮兄ぃのイラつきは、目に見えて解った。 「数時間で俺は慣れちゃったけど、伸也の言い方は腹立つもんな。亮兄ぃ直撃だな。」 大介に耳打ちした。 伸也は、亮兄ぃの怒りも何するモノぞとあしらうかのように、 「すいません。僕は僕で用がありましたので、その代わり、お二人に立ち会っていただいたので問題はありませんよね。」
亮兄ぃは、フンと荒く鼻息を漏らすと、倉庫から出て行った。 「ああ、怒らせちゃった。あの亮兄ぃを怒らすなんて逸材だぜ。ホント変えたほうがいいぜ。その話し方。」 「何かいけなかったでしょうか?」 「亮兄ぃが怒るほどだから、よっぽど鼻につく事言ったんじゃネェの?」 「はて?特に怒るような事は何も言ってませんがね。」 伸也は、自分の非を全く気づいていない感じで無意識でやっているなら性質が悪いと本気で思った。
大介は、 「結局何がさせたかったんだい?検死をしても有力な手がかりは見つからなかったけど。」 「検死自体は、特に意味はありません。 その代わり別の要件が終わりましたので、これはこれで、収穫がありましたよ。 さて、大詰めです。」
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