こんな挙動不審は今に始まった事ではない。 しかし、これがいつもと違ってた訳で… 癌でお世話になってる病院からの電話で、すべてが明らかになった。 明らかなどと言うものではない。 おっさんにしてみれば、隠したつもりが私にバレてしまったのだ。
「ご主人が今見えてますけど、処置をするために奥様の承諾が必要です。今すぐ来て下さい」
ふん!やっぱ また何かしでかしたな。 診察室には、車椅子に座り酸素ボンベを抱えて、鼻からチューブに繋がれている汚い男が居た。 足元の青いゴミ袋には汚れ物が入っていた。 呼吸が苦しくて喋れないらしく、シュンタロウになっていた。 代わりに看護師さんが説明をしてくれた。 昨夜から今朝の様子を、私は何も知らないで居た。どんな夫婦に見えただろう。
先生や看護師さんの前で、私は鬼の様になりおっさんを説教してやった。
「あれだけ飲むなと言い続けてるのに飲んで帰るから、こんな事になったんや!バチが当たったんやな。私は知らん!苦しんだらええのや、この恥知らずがぁ」
場所をわきまえずに、キレてしまった。 肋骨が折れて肺に刺さり、穴が開いたらしい。 それで、私に内緒でよくもまあ、自分で運転して来れた事だわ。 鬼の私が怖い? いいや、怖くなる様な事ばかりしてるからだね。
この時の肺の検査で「これ以上タバコを吸い続けると、死んでしまうよ。タバコを止めるような治療をして行きましょ。でも本人次第だけどね」と言われた。
ったくもう、次から次へと このクソオヤジ!さんざん苦しめ!
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