ところで、おっさんは指が不自由になったにもかかわらず、魚釣りに行く毎日。 紫外線に当たらないようにとの注意が守られていない。 真っ黒になって、まるで漁師だ。針や糸の付け外しは仲間がやってくれるそうだ。 面倒な話だこと。生活の心配も病気の心配もおっさんにはまったく無い。 悠々自適の老後生活を楽しんでいる様に見える。
還暦を迎えた時、年金の手続きに行くように言った。 厚生年金の受け取り申請を早くする様に言ったのに、何を勘違いしたのか
「65歳になるまで出来んのじゃ!」
の一点張りで、頑固者のおっさんは 私の言う事を頭から否定する。収入源が無くなった訳だし、どうしてもっと積極的にこういう事をしないのかとイライラするし、私の言う事に耳を貸さないのか、まったく腹立たしい。
責任を感じていない無神経さに、やり場の無い怒りがこみ上げてくる。 リタイア後、釣りと酒だけに楽しみを見い出している姿が嫌だった。
「シャキッとしい!年金の手続きに早う行って来て!私に対しての責任は何にも感じてないんか!申し訳ないと思わんの?何とかして助けてやろうと思わんの!」
カツを入れてやったけどのらりくらりで効果無し。 社会生活からも離脱したと感じているおっさんを、現世へ引き戻したかった。 この手続きだけは自分の手でやって欲しかったので、私が代理で済ますことはためらわれたのだ。 お金だけが問題なのではない。 まだ働けた年齢で、一線から退いたら本当に男は男でなくなる。 この姿を見るのが私は嫌なのだ。 次はどんな方法でカツを入れてやろうか…
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