中へ入ってびっくり! ベッドの上にあぐらをかいて座って居るじゃない。 気楽そうに鼻眼鏡をかけ新聞なんか広げて上目遣いに私達を見て笑っていた。 昨日、それも夜に手術が終わった身体なのに、なんと言う事! 身体のあちこちが管に繋がれていて、身動きなど取れないと思って来たのに。
脇から一本の管が通っているだけで、その管の先には20センチ四方の袋が付いていた。 その袋は腰に着けられる様になっていたので、自由に歩けるという事だ。 それもリンパ液がキレイになるまでの間だけらしい。 これが癌患者?癌が出来た場所や種類によって こんなに違うものなんだ。 本当に事故で切断した。そんな感じでしかない。 この姿を見たらもうここに居る必要などない。 早く帰らねば……
このオヤジ、家に居る時よりも生き生きしてるよ。 こんな顔久しぶりに見た気がした。 こりゃぁ手強いぞ、おっさんは不死身だわ。 おっさんの病院へ来ている時はモモの事が気になる。 家に居る時にはおっさんの事が……残念ながら気にならない。
一人と一匹、命の重さはどっちも同じのはず。 でも愛情の重さは私の場合言わずもがなである。
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