おっさんの入院と同時進行で起きたのが、もう一つの私の分身である柴犬モモの病気。 私は長い間2匹の犬と暮らして来た。 ここへ移り住んでからの我が家の歴史を共に作り歩んで来た。 私のすべてを知るのがこのモモである。 9歳で先に逝ったランと、私に次いで二番目の主のモモが私を守ってくれていた。 この子達が居たから私も生きて来れたのだ……
もう14年も生きて来たら身体も弱るし犬でもボケる。 ふらつき、散歩も出来ない状態の日々の中でも食べる事だけは旺盛だった。 少量でも必らず完食した。
おっさんが入院してから1週間後のある朝、立ち上がれなくてもがいているモモに ただ事じゃないものを感じた。 首がだらりとして顔が変な方を向いている。 身体に力がなくぐたっとして目が虚ろになっている。 この姿を見て、もう死ぬ間際なんだと思い込んだ。 静かに逝かせてやろうと思いやったつもりだったが、飲まず食わずで2日間も容態に変化が無かったので、この時初めて病院へ連れて行った。 『前庭障害』と言われた。日本犬の老犬に多いそうだ。
治って歩ける場合と、そのまま寝たきりになる場合があると言われたが モモは寝たきりになってしまった。 首が座らず立てない状態なので、ついにモモはオムツをはく事になった。
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