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作品名:もう・・笑うしかない 作者:ののはな

第74回   もひとつのか弱きもの・そのT
 おっさんの入院と同時進行で起きたのが、もう一つの私の分身である柴犬モモの病気。
私は長い間2匹の犬と暮らして来た。
ここへ移り住んでからの我が家の歴史を共に作り歩んで来た。
私のすべてを知るのがこのモモである。
9歳で先に逝ったランと、私に次いで二番目の主のモモが私を守ってくれていた。
この子達が居たから私も生きて来れたのだ……

 もう14年も生きて来たら身体も弱るし犬でもボケる。
ふらつき、散歩も出来ない状態の日々の中でも食べる事だけは旺盛だった。
少量でも必らず完食した。

 おっさんが入院してから1週間後のある朝、立ち上がれなくてもがいているモモに
ただ事じゃないものを感じた。
首がだらりとして顔が変な方を向いている。
身体に力がなくぐたっとして目が虚ろになっている。
この姿を見て、もう死ぬ間際なんだと思い込んだ。
静かに逝かせてやろうと思いやったつもりだったが、飲まず食わずで2日間も容態に変化が無かったので、この時初めて病院へ連れて行った。
『前庭障害』と言われた。日本犬の老犬に多いそうだ。

 治って歩ける場合と、そのまま寝たきりになる場合があると言われたが
モモは寝たきりになってしまった。
首が座らず立てない状態なので、ついにモモはオムツをはく事になった。


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