好きな事してる時は良かったんだろうけど
「後始末くらいきちんとしろよ!」
と、私の言葉も徐々にきつくなって来た。 女まで作って好きにし放題で私を長年ないがしろにして、お前はそれでも男か! と言いたい。
この家のローンは景気のいい時に一括返済しておいたので、家を取られる事はない。 この期に及んでもおっさんは、借金の金額さえ明かさない。 どこまでも秘密主義だ。 それでも人に迷惑を掛けないなら許せるが、最後はいつも私に振りかかって来る。 お金の切れ目が縁の切れ目とばかりに、愛人とは縁が切れた様だった。
借金抱えたおっさんを殺してやろうと何度も思った。 お前は都合が良すぎるよ!また私が尻拭いするのか? 私の顔がまともに見られないのと違う?…… 我慢にも限界がある。 真綿で包むような事はもう止めた!私は怒る女になる。
離れて暮らしている息子が、たまの帰宅時に 私がイライラしておっさんにきつく当たるのを見て、いつも私を制した。
「ええ時もあったんやし、おやっさんも一生懸命働いたし、きつう言わんでも」
と、息子はおっさんをかばう言葉しか言わない。 むしろ、私には厳しかった。
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