娘は二人の子供に恵まれ、今度は息子にも子供が産まれる。 孫達が成長する節目には必ず記念の行事がある。 収入が無くなってもそれらをしない訳には行かない。 私が孫達にしてやれる事は、惜しみなくきちんとやって来た。 お金はその場にとどまってはくれない。 いつかは底をつく。
おっさんに 何でもいいから仕事をして欲しいと懇願し続けたがまったく聞き入れなかった。 私の蓄えも徐々に少なくなって来た。 おっさんが働かないのは何故なのか、それは私にも娘や息子も分かっていた。 自動車屋一筋のおっさんは、これしか生きる道がない。 融通が利かないのだ。 自動車屋に付きものの損保の仕事が、かろうじて細々と続いているくらいで これで生活は出来ない。
損保の仕事をメインにする気が無いだけである。 他の仕事をするのには 相当の覚悟がいるらしい。 プライドが許さないのだ。 生活がかかっているにもかかわらず、のらりくらりと選り好みしているおっさんに腹が立つ。 私のヒモ状態になっているおっさんが情けなかった。 徐々に嫌気がさし、口を利くのも嫌だった。 釣りとお酒の毎日。 飲酒運転で捕まるか事故をするか……考えただけでゾッとする。
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