最後のあがきで、一旗揚げようとした心意気は同じだったが、話を詰めて行くうちに方向性がずれて来て、何回目かの旅行中に喧嘩別れをして途中で別行動になり、それぞれ帰りは一人だった。 以後、その友人から私には電話はあるけれど、たとえおっさんが家に居ても私と話したら電話を切ってしまう。 関東方面に住むこの友人は
「いやぁ〜 ○○とは話が合わなくなってね…奥さんの元気な声を聞かせてもらったらそれでいいんですよぉ」
と、元気のない声をよく聞いた。 多分気の短いおっさんがキレてしまったのだろう。 が、男の話は私には理解できない。 商売に陰りが見え始めた頃 愛人との間も消滅しかかっていた。 消滅と思いたかっただけかも知れない。
孫が出来たりすると、元々寂しがりやのおっさんは家庭が恋しくなるらしい。 私にはうざったい事だった。 自分の都合の良いように行動するおっさんに 良い顔は出来ない。 気持ちの中では常に一線を引いて構えていた。 私はあくまでも『家族ごっこ』でしかないのに、おっさんはすっかり家族の一員になろうとしていた。 家族の中心ではなく一員で十分なのだ。 中心は私であり、家の中の権限は私が握っていた。 当たり前といえば当たり前かもしれない。 この家を建てて以後、ここで生活をしたのは私だけなのだ。 おっさんはヤドカリみたいなもの。 私が主になってどこが悪い!?
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