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作品名:もう・・笑うしかない 作者:ののはな

第48回   そのU
 最後のあがきで、一旗揚げようとした心意気は同じだったが、話を詰めて行くうちに方向性がずれて来て、何回目かの旅行中に喧嘩別れをして途中で別行動になり、それぞれ帰りは一人だった。
以後、その友人から私には電話はあるけれど、たとえおっさんが家に居ても私と話したら電話を切ってしまう。
関東方面に住むこの友人は

「いやぁ〜 ○○とは話が合わなくなってね…奥さんの元気な声を聞かせてもらったらそれでいいんですよぉ」

と、元気のない声をよく聞いた。
多分気の短いおっさんがキレてしまったのだろう。
が、男の話は私には理解できない。
商売に陰りが見え始めた頃 愛人との間も消滅しかかっていた。
消滅と思いたかっただけかも知れない。

 孫が出来たりすると、元々寂しがりやのおっさんは家庭が恋しくなるらしい。
私にはうざったい事だった。
自分の都合の良いように行動するおっさんに 良い顔は出来ない。
気持ちの中では常に一線を引いて構えていた。
私はあくまでも『家族ごっこ』でしかないのに、おっさんはすっかり家族の一員になろうとしていた。
 
 家族の中心ではなく一員で十分なのだ。
中心は私であり、家の中の権限は私が握っていた。
当たり前といえば当たり前かもしれない。
この家を建てて以後、ここで生活をしたのは私だけなのだ。
おっさんはヤドカリみたいなもの。
私が主になってどこが悪い!?


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