小さな声で耳打ちした。
「今度は何したん? 刑事が来てる 何をしたんやぁ!」
「刑事? 知らん!」
寝起きのボサボサ頭と、間抜けな格好で階下へ降りて行った。
「主人が何をしたのか、何を探したいのか知りませんけど勝手に探して下さい! 何も出て来なかったらどうしてくれるんです? 間違いならどうするんですかぁ!」
と 怒鳴るように言ってから自分の寝室に篭もった。
全部の部屋とクローゼット、各部屋の収納、3階の小屋裏まで上がって。 それに腹が立ったのはキッチンの床下収納庫。 鍋や食料の入っている扉の中は全部。 ガサガサ、ガタガタと あちこちの部屋で音がする。 布団にもぐり込んで身体を丸め、膝を抱えて耳を澄ませて様子を伺っていた。
私の寝室だけは 何故か入って来なかった。
私の部屋のドア越しに
「奥さん、終わりました……ご協力ありがとうございました」
と声を掛けて帰って行った。
「協力なんかした覚えないわぁ!! くっそぉ!」
時間にして40分程だったが、腹が立って腹が立って収まらなかった。 4人の男たちの背中に向かって 暴言を吐きたい気持ちを抑えるのに必死だった。 おっさんは、連れて行かれた。 以前に税関の職員が調べに来た時もそうだったが、今回もおっさんは、顔面蒼白だった。 気が小さいくせに、私にばっかり強がってあほなヤツ! 悪い事していないなら、私みたいに堂々としてろよ!
探した後の散らかり方が、なんともムカついた。 綺麗にしていた家の中を所かまわず引っ掻き回された悔しさ。 何で我が家が警察に調べられなければならないのか……
この理不尽に、警察にもおっさんにも両方に腹が立った。
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