普段はバラバラに暮らしている家族が、お盆やお正月も入れて一年に数回集まる事がある。 こんな崩れた夫婦関係で、私一人が住むこの家に子供たちは ごく普通に帰省して来る。 娘や息子は友達を連れて帰って連泊する時もある。 こんな時、別におっさんは帰って来なくていいのに、息子が電話したりするもんだから ひょこひょこと帰って来る。 が、私としては面白くない。
どっちつかずの宙に浮いた状態の夫婦である事が、これがいいとは思っていない。 離婚も何度も考えた。 もうどうでもいい、非建設的な事実はどうにもならない。 積み重ねて作り上げる二人の共同作業はもう終わった訳で……
堂々巡りをしながらも、離婚する勇気がなかったのは、娘や息子達のためでしかない。 成人した娘や息子のためと言うのは変かも知れないが 私は家族と関わって生きて行く事を何よりも大事と思って来た。 ここで離婚したら、今迄の親子関係が崩れる気がしたのだ。 愛人問題さえなければ、他の事は少しは許せる事じゃないかと思った。 女にとっての一番の急所を押さえられている事は許せない。 自尊心と虚栄心と世間に対する見栄が、私をがんじがらめにしていた。
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