お土産としての頂き物は大量にあった。 そんなこと急に言われても、まったくもぉ! 一人でこれをどこに隠したらええのやろ…… 飲みもしないウオッカが50本以上。 カニ缶や人形や彫り物の置物、トナカイの角。 トナカイの角なんて 何にするのよ!
まったく私はいったいあんたの何なのよぉ。危ない事ばかりやってぇ!
二人の男性は税関の職員だった。 密輸の疑いで もらった品物の確認。 お土産なのか密輸なのか際どいけれど線引きがない。 あくまでもお土産だと言うおっさん。 お酒に関しては密輸の疑いありとみる税関職員。
私の動きの素早さと完璧な隠し技で、ウオッカは1本も出てこなかった。 この職員は令状を持っていないので家の中を探し回る権限はない。 ソファーに座ったまま
「あれば全部出して下さい。この部屋にも二階にもありませんか?」
おっさんが動こうとすると
「あっ、ご主人は座っていて下さい」と言われた。
「どこにもありませんよ、隠してません! 第一最初からそんな物見た事ないですから」
私はムッとした顔で言い切った。 やれやれ冷や汗もんだわ。
おっさんの車のトランクも探していたが、何も出てこなくて一件落着。 酒類はお土産で貰ってもいいけれどそれを売れば罪になる。 家にあるのは、何十本も一度に貰ったのではなくて、長い間に溜まってしまった分である。 それにウオッカなんてきついお酒 飲めるわけ無いわ。 貰うなよ! 数が多いので売る目的で貰ったと思われても仕方がない。
でも貰ったりするやり取りを どこで見てるんだか…… おっさんの尻拭いばっかりやらされている気がする。 いつもピンチを救ってやってる私は、あんたの いったい何なんだ?
「クソオヤジめぇ〜 いつかは仕返しをしてやる! お前を守ったんやない。私や子供を守ってるんや〜それが分からんか? 地獄へ落ちろぉ〜!!」
この後に、これもまたタレ込みで無免許運転で捕まる事になるのだ……
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